好文木(校長ブログ)
2018.08.30
「当事者意識」を問う

 仕事をするうえで「当事者意識」を持つということは極めて重要です。それは、すべてを自分のやるべきことと考えて取り組むということであり、その仕事を完遂するということです。責任感と言い換えることができます。しかし、生徒からの相談に耳を傾けつぶさに検証すると、「当事者意識」が欠如していると思うことがあります。
欠如の理由は2つあると思います。ひとつは自分のやるべき仕事の意味を本当に理解していないということ。そしてふたつ目は責任をもって取り組んでいないということです。私はこのことを若い時の失敗から学びました。
大学を卒業後、総合商社に入社した新入社員のころ、代金回収の状況を調べる仕事の中で、期日を過ぎても入金されていないケースがありました。そのチェックリストを課長にただ単に回していたのですが、課長から、「営業の仕事はモノを売って終わりじゃない。代金を回収して初めて終わる。だから、たとえ子会社でも遅れているところには催促して入金させなければダメだ」と叱られました。
また、ある時、課長代理から頼まれた仕事を担当の女性に指示しました。ところが、その仕事ができていないことが分かり、課長代理から怒鳴られました。私は言われた通り女性社員にやるよう指示していたので、怒られるのは心外だと思い、その旨を伝えたところ、「頼まれた仕事はできたかどうか自分で確認して初めて終わるんやろ。人のせいにするな、責任もってやれ」と、輪をかけて怒られました。
私は社会人となった初期段階で厳しく指導してもらえたことで、仕事の基本的姿勢を身に着けることができたと感謝しています。ベテラン域に入った教員の中にもこのことが分かっていない人もおり、鉄は熱いうちに打てということをつくづく感じます。
また、たとえ一人の教員の対応がまずかったとしても、学年、教科、校務分掌等の他の教員が関与しフォローすれば問題とはなりません。学年や分掌の壁を越えて一人の生徒のことを全教員で意識することができる学校になりたいものです。
そして、学校における「当事者意識」の構成要件とは責任感に加えて、生徒に対する愛情だと思います。生徒に対する愛情は「傾聴」と「共感」から生まれます。「傾聴」と「共感」ができない人は教師としての資質に欠けると私は思います。

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