2019.06.15
「不都合な真実」に向き合う勇気

 金融審議会が「高齢社会における資産形成・管理」において、65歳から95歳まで30年間生きるためには年金だけでは不足し、2000万円の貯金が必要だという報告をまとめ、その内容を財務相が発言したことが議論を呼んでいます。
 「100年安心」という年金については、制度としての存続が安心という意味なのか、人生が安心なのか食い違いがあるようです。私は個人的には、これだけ少子高齢化が進んでいるので、現状のままでは年金に100%頼ることは難しく、幾ばくかの預貯金は必要だろうと思っています。ただ、これに関しては様々な議論があってしかるべしと思います。
 問題なのは、金融庁の要請により専門家が議論検証して作成した報告書に対して、批判が出たからと言って、いろいろ理由をつけてそれを受け取らない、あるいはなかったものとしようとする姿勢です。
 大阪府吹田市の小学校で、いじめアンケートを担任が破棄し、いじめの実態が一年半にわたり隠蔽されていたという事案がありました。同様の事案は全国でいくつも報告されています。「不都合な真実」を隠し、都合のいいように解釈する事案は後を絶ちません。カエサルは「人は自分が見たいものしか見ない」と言っています。「不都合な真実」に向き合うことは嫌なことで辛いことなのですが、向き合う勇気が必要です。そうしなければ問題は解決せず事態は悪化の一途をたどります。第三者の目で企業経営をチェックする機能が欠かせないとして導入された社外取締役制度についても、「悪い情報」が届かずチェック機能が働かない例が相次いでいます。「仏作って魂入れず」だと感じます。
 本校では生徒指導の三原則、①ダメなものはダメだという原理原則ある指導②生徒・保護者に対する「傾聴と共感」の姿勢③生徒情報の共有と迅速な対応、に加えて「悪い情報ほどすばやくトップに報告する」ことを義務付けています。しかし、人によって感度が異なるので漏れが生じます。そこで、情報が上がりやすい仕組みとして、校長室をオープンにし、校長ポストを設置しています。また生徒の変化を自らキャッチするために、毎朝の校門での挨拶や電車通勤途上での生徒との会話を通して積極的な働きかけを行っています。それでも完璧ではないことはわかっていますが、最善を尽く努力が必要だと思っています。
 先日実施した部活動における体罰アンケートも、すべて自分で目を通しました。気になる記述については、当該生徒を呼び詳しく事情を聴き取りました。残念ながら運動部において体罰とまでは言えぬものの配慮に欠ける不適切な言動が2件ありましたので、顧問を呼び厳重注意をするとともに当該生徒にその旨をフィードバックし了承を得ました。「アンケートをとってもなかなか本当のことはかけないのでは?」という意見もあるでしょう。部活動における顧問と生徒の関係は強固で、校長が入る隙はないと思う人もいるでしょう。しかし、アンケートをとることには抑止効果があります。そしてまた本校の生徒は素直で私のことを信用してくれている生徒が少なくないと自負しています。この12年間、生徒の声を聴き続け、できることはやる、出来ないことはできないと答えを返してきましたので、生徒との間に一定の信頼関係はできていると思っています。
 今後も「不都合な真実」を認めきちんと対処していく覚悟です。大人がその姿勢を見せることこそ一番の教育であると考えます。

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