好文木(校長ブログ)
2018.10.04
人生100年時代の生き方

 10月1日付の日経新聞に、高校教員意識調査の結果が載っていました。それによると、現在の高校間格差は生徒が勉強や受験、部活動や将来に関して意欲的かそうでないかという違いとして表れると指摘されています。
 また、以前は非進学校では校則を守らない反抗的な生徒に対して厳しい生徒指導で臨んでいたものが、現在では非進学校においても校則を守り反抗は少なくなり、消極性や無気力の生徒の気質が問題になっていると述べています。
 教師が授業で大事にしていることに関しては、進学校では「大学受験に対応した授業」が9割超であるのに対し、非進学校では「職業に結び付いた知識や技能が得られる授業」が8割強となっています。
 現在進行中の文科省主導の高校改革については、関心を持っているのは超進学校の教師たちであり、それ以外の高校の教師たちは、現在の改革が実際の学校や生徒の実情に合っていないことに戸惑いを感じている結果となっています。「役に立つか否かばかりにとらわれず、幅広く人を育てる教育に戻すべき」との意見もあり、まったく同感です。
 さて、洋の東西を問わず学歴社会ですから、勉強をして有名大学に入学したほうが選択の幅は広がります。しかし、学力が高く良い大学に入ったからと言ってそれだけで安泰となるほど生易しくはありません。卒業後人もうらやむ一流企業に入っても社内での競争の結果は意外に早く出ます。40代になればゴールが見えます。努力が必ずしも報われるとは限りません。後輩が上司になることもあれば、ラインから外れることもあります。そして、定年を迎え退職して会社の看板がなくなると寂しくなるものです。
 一方、小さくとも自営業ならリスクはありますがうまくやれば死ぬまで働けます。スキルを身に着け資格を取ることも強みとなります。しかし、AIが進歩し変化が激しくなると、その賞味期限が短くなり価値が低下するものもあるのでできるだけ長続きするものを選ぶことが肝心です。
 学歴で道を開こうが、スキルや資格で生きようが、大事なことは古今東西変わることのない英知、教養を蓄積し自分流のスタイルを確立することだと思います。
 そのためには、若い時から読書に親しむことです。知識の吸収や情報の収集にとどまらず、人生に悩んだり迷ったりしたとき、進むべき指針を示し勇気を奮い立たせることもできます。「無気力」、「消極性」は育ってきた環境にもよりますが、学びがなければ夢も希望も湧いては来ません。常に学び失敗を恐れず挫折に怯まず挑戦し続けるなかで初めて自分流のスタイルを確立することができます。ぶれない軸をつくることができます。
 人生を四つのステージに分けると、0歳から25歳は知識吸収の勉強期間、25歳から50歳は知識を吸収しつつ実践を通じて様々な経験を積む期間、50歳から75歳は知識と経験を生かして世の中にお返しする期間、そして75歳から100歳は余生を楽しみつつ静かに人生の下り坂を降りていく期間となります。人生100年の前半50歳までをどのように生きたか、何をしたかで後半が豊かなものとなるかどうかが決まります。

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