
東北や北陸では豪雨被害が出ており、台風24号の停滞と梅雨前線南下により九州、四国、近畿も線状降水帯発生の予報が出ています。大事をとって、昨日実施予定だった1年生の1泊レクリエーションC班は来週に延期としました。
阪神間は酷暑と蒸し暑さで雨の少ない日々が続いていました。西日本ではダムが干上がっていたところもありましたので、干天の慈雨となればよいのですが、適量を超えた豪雨となり被害をもたらさないことを願います。
谷崎潤一郎の『細雪』には昭和13年の夏に起こった阪神大水害の様子がリアルに描かれています。芦屋川や住吉川が氾濫し、屋根に上って救助を待つシーンは緊迫感が伝わってきます。市内にある水難の碑を遠い昔の話として見ておりましたが、ここにきて現実味を帯びてきました。平安時代、白河天皇は「鴨川の水、双六の賽、山法師 これぞわが心にかなはぬもの」と言って嘆いたといいますが、いかに科学技術が進歩しても自然の脅威には対抗できません。
ヨーロッパの熱波、ネパールの氷河崩落による大洪水など地球温暖化の影響が専門家から指摘され、対策が急がれるにもかかわらず、超大国アメリカのトランプ大統領は地球温暖化はデマだと言う始末で、それを信じて支持する人々がいるというのは驚きです。
30年前『歴史の終わり』を表したフランシス・フクヤマ氏は、8月31日のニューヨークタイムズのインタビューに答えて、当時、トランプ氏が富を追い求めビジネスマンとして大成功を収めるとは考えたものの、政治に進出し世界を思い通りに動かそうという欲望まで持つとは予想していなかったと、自己の見誤りを認めています。また、今、世界が自由民主主義がもたらした平和と繁栄に飽き、自ら体制を破壊しようとする「循環的システム」に陥っている可能性を示唆しています。そして自らを権威主義と戦争に投じ、それに疲れると、また再び自由民主主義に戻ろうとするのではないかと予測しています。
人間の欲望も自然現象と同様に規模が大きくなればなるほど制御が利かなくなり厄災となります。旧約聖書『創世記』にあるノアの箱舟は、人々の悪行に対し怒った神が大洪水を起こし人々を裁く物語です。戦争は最大の悪行です。しかし一部の指導者のせいで無辜の人々が塗炭の苦しみに喘ぐのは実に理不尽です。トランプ氏はこのノアの箱舟の物語も自分に都合の良いように解釈するのでしょう。
ニーチェは科学技術の進歩により古いキリスト教的価値観が人々の精神的支柱とならなくなった状況を「神は死んだ」と言い、新しい価値観を創造する「超人」の出現を望みました。「あなたは友のために、どんなにわが身を美しく飾っても飾りすぎることはない。なぜなら、友にとって、あなたは超人への矢であり、あこがれであるべきだから。」(『ツァラトゥストラはかく語りき』)
現在のアメリカは民主主義で選ばれた大統領が法の支配を無視し専制君主のようにふるまっており、この状況を惹起したのは民主主義の負の側面と言えます。かつてイギリスの首相ウインストン・チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態である。ただし、これまで試された他のすべての形態を除いて」と言う名言を残しています。現在世界に蔓延する権威主義、専制主義に代わり次にどのような「超人」を目指して飛ぶ一本の矢が現れ自由民主主義を再興するのか興味は尽きません。







