好文木(校長ブログ)
2026.08.28
闘うICC

 米トランプ政権は、ICC(国際刑事裁判所)が2024年、戦争犯罪の疑いありとして盟友イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことに対し強く反発をし、ICCの赤根智子所長に制裁を科しました。(ICCはロシアのウクライナ侵攻においても戦争犯罪、人道に対する罪でプーチン大統領にも逮捕状を出しています)

 その赤根所長がテレビのインタビューで「正義は常にその対極にあるものに優越する。信念を貫く」と述べるのを聞きながら、大学時代に読んだ19世紀ドイツの法学者イェーリングの『権利のための闘争』(Der Kampf ums Recht)の冒頭の言葉「法の目標は平和であり、それに達する手段は闘争である」が蘇りました。

 赤根所長の淡々と、しかし、一つひとつかみしめ縛りだすような言葉には揺るぎない信念を見て取ることができ、まさに命を賭して法の支配による世界平和の実現のために闘っていることが伝わってきました。

 高市首相は、制裁発表直後の「大変残念に思っている」とのコメントが弱腰との批判を受けると、「弱腰には当たらない」と反論し、赤根所長のサポートに動いていることを強調しましたが、トランプ政権に対して婉曲的な言い回しに留まり、正面から明確に非難し抗議するには至っていません。

 最大の同盟国の機嫌を損ねるわけにはいかない難しさがあり、慎重にならざるを得ないのでしょう。また、今回の件は、台湾有事やプーチン大統領の北方領土訪問とは異なり、直接日本の国益に影響することではないとの思いもあるのかもしれません。

 しかし、法の支配という普遍的価値観への挑戦にどう応えるのか。力による現状変更が横行し、手前勝手な理屈で気に入らない者を排除しようとする大国の横暴にはNOと言う気概こそが国際政治の舞台における日本のプレゼンスを高めることになると思います。

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