日経新聞(2019.5.17)によれば、政府の教育再生実行会議が第11次提言をまとめ、高校普通科を4タイプに分ける提言を行っています。①進学や就職などキャリア育成②グローバルリーダーの素養の育成③科学技術のイノベーターの素養の育成④地域課題の解決を通じて実験と実践を伴った探求的学び、です。
4タイプに分ける理由について、文科省幹部は、少子化で大学に入りやすくなったため、目的意識のないまま大学に進学する生徒が少なくない一方、学校は受験対策に偏りがちで、このままでは国際的な競争を生き抜く人材が育たないとコメントしています。
また、教育再生実行会議は視察を通じ、教育内容が画一的で興味関心を踏まえる内容になっておらず、生徒の学習意欲に悪影響を及ぼすとして見直しを迫ったと伝えています。
私はこの提言に少なからぬ疑問を感じます。そもそも教育再生実行会議の提言というのが経済成長路線からくるグローバル人材育成に重点が置かれているからです。経済成長とグローバル人材も必要であると思いますが、中等教育における教育内容は特化ではなく定型であるべきだろうと思います。高校の教育はさらに高等教育機関に進学して学ぶための基礎作りであり、それが画一的で興味関心を踏まえる内容になっていないとすれば、それは教える教師個々の授業力の問題だと思います。
教育再生実行会議は多様性を尊重し独創性や想像力を養い感性を高めることの必要性を強調しています。そのこと自体は崇高な理念だと思いますが、実際の施策を見ると、経済界や国が今必要としている人材を供給する目的でパターン化し、価値観を押し付けるような形になっていないでしょうか。そもそも中学生が高校選択の段階でこの4パターンで選ぶというのは無理があると思います。