好文木(校長ブログ)
2026.09.25
15歳の学力

 9月25日付の日経新聞は英国有力紙フィナンシャルタイムスから「「15歳の学力」なぜ過去最低」というタイトルの記事を掲載しています。

 経済協力開発機構(OECD)が発表した2025年の学習到達度調査(PISA)で、「科学的応用力」、「数学的応用力」、「読解力」の平均得点が先進国全体として最低を記録したと報じています。PISAの評価は15~16歳を対象として3年ごとに実施されています。

 原因にはコロナによる学習支障や生徒によるAI利用、スマホの普及など様々な要因が考えられますが、これらは必ずしもすべての国に当てはまるものではありません。教育に関する政策の違いに原因を求める見方も出ています。すなわち、質の高い教師から学ぶことができる生徒は概して成績が良く、基礎知識の習得をあまり重視しない教育という流行に乗った国ほど長期的な学力低下が著しいというものです。英スコットランドでは2010年、知識の習得より問題解決力に力を入れる教育に移行したところ、その後学力低下がみられ、逆に基礎的学習に力を入れている英イングランドやエストニア、東アジア諸国は成績悪化を食い止めていると分析しています。

 移民の生徒比率が高い国が平均して科学の得点が高い傾向があるとして、英国、オーストラリア、カナダ、アラブ首長国連邦などでの例を挙げていますが、これは大変興味深いところです。

 PISA得点低下の背景には様々な原因がありますが、教訓として、集中力、基礎知識、質の高い指導、学習を重んじる文化など優れた教育が重要だとしています。そしてテクノロジーの利用などはそれを補完するものだと論じています。

 この教訓は私が従来から申し上げていることと全く同じです。本校のスローガンである「個性創造」もまた、基礎基本をしっかり身につけた上での独創性の発揮を意図しているものです。しかし、ともすれば「個性創造」を単なる「個性尊重」と解釈する向きもあり、私は常に基礎基本の習得の必要性を説いています。

 確かに問題解決力など実社会では大いに必要な能力なのですが、それはある程度学力が備わった層に開発可能な能力です。全ての層にこれを求めるところに問題があります。基礎学力がないにもかかわらず問題解決力をつけさせようとすれば、上っ面だけの指導内容となりAIから答えを引っ張ってくるようなことが起こるだけです。流行に流されず、原理原則に沿った基礎をしっかり身につけさせる教育が大事だと思います。

新着記事
2026.09.25
15歳の学力
2026.09.11
『かぼちゃと風車とフクロウ』
2026.09.08
2050年、2人に1人が国公立・難関私大へ!
2026.09.07
増える50年ローン
2026.09.04
異常気象と循環する社会