2019.01.24
知識集約型社会

 1月23日の日経新聞は2018年度世界の純利益の4割を米企業が稼ぐ見込みだと報じています。その源泉は技術力を示す特許やブランド力を示す商標権といった無形資産であり、米国の成長を支えるのは製造業や小売りなど現実のものを扱う産業から知識集約型産業への転換が進んでいると伝えています。
 GAFAと呼ばれるIT産業が世界を席巻していることは以前述べました。「アマゾンは地球上最大の店舗。アップルの手元資金はデンマークのGDPとほぼ同じ。フェイスブックは世界人口75億人のうち12億人がかかわりを持っている。グーグルは毎日20億人が入力し35億の質問からデーター収集をしている。四騎士は合計でミネアポリスの人口と同じ41万8千人の社員を雇用しており、四騎士の公開株式の価値の合計は2兆3千億ドルで、人口6700万人の先進国フランスのGDPに匹敵する」(『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』スコット・ギャロウェイ著)
 産業構造は多くの労働力に依存する労働集約型からコンピュータが働く資本集約型にそして知的労働に重きを置く知識集約型へと動いています。知識集約型社会ではコンピュータはデーター解析の効率性を飛躍的に高め、人力での複雑で長時間の作業を代替してくれる手段として不可欠のものとなります。そして導き出された結果は様々な判断材料として提供されます。
 例えば、ITを活用した便利で効率的な金融サービスとしてフィンテックが注目されており、メガバンクは相次いで人員削減のスケジュールを公表しています。融資時における信用調査も事前にデーターを入力しておけばAIで代替可能と言われています。投資信託やヘッジファンドなど資産運用でもAI化が進んでいます。ポートフォリオのデーター解析や売買判断をコンピュータに任せることが当たり前になってきました。
 しかし、すべての審査をAI任せにすることは危険です。企業業績や業界展望等、数値で表される項目以外の個別事情もあります。例えば企業トップの経営姿勢や人間的魅力、顧客との信頼関係、社内の雰囲気などは実際にじっくりと企業訪問しそこで働く人々に接してみないとわかりません。また投資の世界では必ずしもコンピュータの読み通りにはゆかず人間の心理によって大きく動くことがあります。心理学や歴史の知識も必要です。哲学の尺度もいるかもしれません。
 膨大なデーター入力によりコンピュータが出す答へのプロセスが分からなくなるブラックボックス化も懸念されます知識集約型社会では、コンピュータやAIが出した答えを妄信するのではなく、人間の日常生活のあるべき姿に照らして妥当なものであるかどうかを検証する過程が必要です。そして、最終判断はコンピュータではなく人が下すことが必要であり、決定権者の資質が問われます。

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