好文木(校長ブログ)
2024.04.01
あっぱれな卒業生

 先週末、卒業生がお母さんと一緒に訪ねてきました。今年大学を卒業し看護師の国家試験に合格して4月から市民病院で働くことになったそうで、その報告とお礼に来てくれたのでしたが、その元気な姿にみな驚かずにはいられませんでした。
 彼女は1.5次入試で本校に入ってきました。自宅からより近い私学の女子高を受験したのですが、不合格になったのです。理由は体調でした。消化管の通過障害により通常の食事が出来ず必要な栄養が取れないので、鼻からチューブを入れて胃に栄養補給をしている状態でした。面倒は見切れないとの判断で不合格にされたようでした。本校の試験でも合格点は取っていましたが、やはりこの体で大丈夫かと、それも志望が看護医療系進学コース。特進に次いでしっかり勉強しないといけないコースです。正直、私はかなり悲観的でしたが、彼女の「学ぶことが生きること」という意志の強さに心動かされ入学を許可しました。
 入学後、やはり心配していた通りで、入退院を繰り返しました。特に夏は水分補給が大事なので担任や養護教員がこまめに指示を出していました。痩せてふらふらしながらも登校して勉強する生徒で、エレベーターを使えと言っても階段を登るという今時珍しい根性のある少女でした。とにかく3年間頑張り通してAO入試で女子大の看護学部に合格しました。卒業をまじかに控えたある日、校長室にやってきて「いろいろありましたが、私はこの学校に拾ってもらって救われました。感謝しています。有難うございました」とお礼を言ってくれました。私は本人の頑張りを称し大学合格を祝しましたが、さて、厳しい看護学部でやっていけるものか心配でもありました。
 その彼女が見違えるほど元気になって再びお礼に来てくれたのです。今回もまた「この学校に救われた」と言っていました。その言葉が嬉しかったのは言うまでもありませんが、彼女の回復力のすばらしさには感動しました。確かに本校は多くの教員が彼女の学校生活を支えました。しかし、最後は本人のやる気にかかっています。過酷な健康状態の中、よくぞ頑張ったと感心します。大学での看護実習も厳しかったようです。しかし、それを明るく笑い飛ばしていました。あっぱれなる根性の持ち主です。先日、やはり卒業生で看護の短大に通っている生徒が弱音を吐いていたので、彼女の話をして励ましてきました。このような素晴らしい生徒に好文学園が高校3年間を提供できたことを誇りに思います。彼女の今後の活躍を心から祈ります。きっと人の痛みがわかり患者に寄り添う素晴らしい看護師になってくれることでしょう。

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