埼玉県の中学校の「原則、授業中やテスト中は水筒でお茶や水を飲まないことをマナーとする」と定めた校則が物議をかもしています。昭和世代からすれば、「あたりまえでしょう」と思うことなのですが、温暖化が進む令和の学校事情としてはそうとは言えません。
本校ではコロナ禍でマスク生活に入ったとき、冷房を入れても頻繁に換気をして窓やドアを開けることが多かったため、熱中症予防から、授業中の水分補給を認めるようになりました。当時は体操服での授業も許可していました。コロナ規制が緩和された現在も授業中の水分補給は認めていますが、特に不都合は生じていません。
件の中学校では、「教師が話しているときも水筒を開けて水やお茶を飲む子がいて節度がなくなっているので原則禁止にしたが、どうしても飲みたいときは挙手して許可を求めればいいから問題はない」との見解だそうです。これに対して保護者から「体調が悪くても遠慮して手を挙げず熱中症になる生徒がいるかもしれない」として撤回を求める訴えが出たそうですが、学校も教育委員会も問題ないとして応じなかったとのこと。
想像するに、授業中、結構多くの生徒が鞄から水筒を出して水分補給をするので、ガチャガチャして授業がやりにくいという状況だったのではないでしょうか。それで自由に飲ませるのではなく許可制にしたのでしょう。許可制にするとハードルが高くなるとの保護者の懸念も理解できます。
要は授業中ガチャガチャしないようにすればよいのです。学校も水を飲んではいけないとは思っていないようで、飲み方に配慮しようということでしょうから、「原則禁止」を
謳うのではなく、個々の状況に応じて教員が適切なアドヴァイスを行えば良かっただけのことではなかったのかと思います。原則禁止で許可制にするというのでは教員の指導力は向上しませんし、生徒にとっても正しいマナー教育にもならないのではないでしょうか。大人も子供も細かいルールがなければ適切な行動が出来ないというのは残念です。「数値化できない物事の良し悪しを判断し最適化する能力」センスの良さを学びたいものです。