好文木(校長ブログ)
2021.12.24
令和3年2学期終業式校長講話

 2学期はコロナ感染症感染拡大第5波のピークで、学校閉鎖から始まり、9月いっぱいの短縮授業、文化祭の中止など学校生活は制限されました。しかし、ワクチン接種の進展に伴い、感染者数は急激に減少し、規制が緩和され、芸術鑑賞、修学旅行、校外学習など実施でき、学校生活にも潤いが戻ってきました。
 5回にわたるオープンスクールも、生徒会、部活動、コースなどからたくさんの生徒のみなさんの協力により無事に終了することが出来ました。この場を借りてみなさんにお礼を言いたいと思います。有難うございました。
 このまま安心して年末年始を過ごせるかと思いきや、新たな変異種「オミクロン型」の国内初の市中感染が22日に大阪で確認されました。再び気を引き締めて感染予防に努めてまいりましょう。

 コロナ禍による影響もあるのか、最近、人身事故による鉄道ダイヤの乱れが以前に増して多くなったように思います。また先日は北新地のクリニックが放火され多くの方が犠牲になるという悲惨な事件が起きました。犯人の身勝手さに強い憤りを感じます。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しご冥福をお祈りいたします。日々やさしさが失われすさんだ世相を反映するような事故、事件が報じられています。

 立教大学名誉教授の渡辺憲司さんは、昨年の夏のコラムの中で、「今世界中が病の中にあるからこそ生まれる優しさがあるはずで、多くの悲しみや苦しみを通り抜けてきた老人こそがやさしさの牽引者になる責任がある」と述べています。そして芭蕉が若い弟子と偶然久しぶりに出会ったときの喜びを詠んだ句、「命二つ中に生きたるさくらかな」を紹介し、「やさしさを、胸いっぱい吸い込みながら出会いの時を待ちたい」と締めくくっています。

 昨日の朝、通勤電車で、座って本を読んでいると、隣に赤ちゃんを胸に抱いたお母さんが座ってきました。しばらくすると、私の右腕を赤ちゃんが右足で蹴ってきます。お母さんは全く気が付きません。小さな赤ちゃんの足の裏の感触が私の腕に伝わります。私は愛おしい気持ちになり、「頑張れ、もっと強く蹴ってごらん」と心の中で呼びかけていました。そして、さくらの季節にはほど遠いものの、「命二つ中に生きたるさくらかな」の芭蕉の句が思い出されました。やがて千船駅に到着し、偶然隣り合わせになったこの赤ちゃんの健康と幸せを願いながら電車を降りました。
 明日から始まる冬休み、健康に留意して有意義に過ごしてください。そして良い年を迎えてください。

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