
長期休暇の前にいつもお話ししていることですが、夏休みは是非、読書をして下さい。1年生の中でよく本を読んでいる生徒がいます。「本を読むっていいですね。違った考え方や意見に触れることができ、視野が広がります」と言って、時々、読後感想を聞かせてくれます。お薦めを訊かれたので、『楽園のカンヴァス』を紹介したら早速買ってきて読んでくれています。逆に私に『アルジャーノンに花束を』を推奨してくれたのでこの三連休に読んでみました。とても悲しく深く考えさせられる小説でした。愛情の伴わないインテリジェンス(知性)の虚しさとエンパシー(共感力)の大切さを改めて教えられたように思います。
巻末に、著者のダニエル・キイス氏と歌手の宇多田ヒカルさんの対談が載っています。1999年のことなので宇多田さんは16歳、キイスさんは72歳です。音楽や小説そして人生について語り合っています。宇多田さんは志賀直哉の『城崎にて』から生と死を思索したり、武者小路実篤の言葉から自分の歩む道の確かさを見出したりしています。16歳の日本人の少女と72歳のアメリカ人作家が互角に対談できていることに驚きました。これは宇多田さんの読書からくる洞察力と感性の賜物だと思います。この本を進めてくれた読書好きの生徒とは、これからも卒業まで読書談義に花を咲かせていきたいと思っています。
私が懇意にさせていただいている元芦屋大学学長で全国高等学校体育連盟の副会長も務められた比嘉悟先生は、かつて公立高校でバスケットボールの指導をされていました。そして公立高校としては11年ぶりのインターハイ出場を果たされました。毎朝「おはようミーティング」を行い、部員に新聞や雑誌の切り抜きを用意して、感想と意見を訊いていたそうです。読書を推奨し、夏休みには読書感想文を書かせたり、一流の人に会う機会を設けたり、バイオリンの演奏会に連れて行ったりしたこともあったと伺いました。そして、ご自身の体験から「人の心を傷つけることや嫌がることは言わない、やらない」を人生哲学の一つにしたとも仰っています。
音楽でもスポーツでもスキルを磨くためには、日ごろの練習とともに、幅広く興味関心を持つことや本を読むことが大切なんだと改めて思います。夏休み、みなさんも是非本を読んであれこれ考える時間を持ってください。







