8月22日に中学校対象入試説明会を、9月4日・5日に塾対象入試説明会を開催しました。いつものように冒頭に学校長として挨拶をいたしました。わざわざ校長先生自らお越しくださった学校もあり感謝感激です。
私は、この場を学校長としての所信表明の場と位置付けております。校長就任当初、改革への熱意を伝えたいあまりに話が長くなり、ある塾長様の顰蹙を買いました。言いたいことをしゃべるのではなく聴きたいことをしゃべることが大事だと大いに反省いたしました。以来、スピーチは学校の特色、生徒の活躍の成果、私の教育に対する考え方の3つを入れて15分を目途に終えるよう心がけています。
今年は、先ず好文学園の特色5つを紹介しました。①女性としての自立を促し、充実した専門授業でスキル・アップできる多彩な8コース②個別指導で難関大学にチャレンジするチュートリアル制度③くつろぎの環境を提供しリフレッシュできる天然芝のグラウンド④生徒と保護者に傾聴と共感をもって接する機会を提供するオープンな職員室と校長室⑤人としての品格を磨く小笠原流礼法の授業。
そして、今年春の卒業生の進路を概括して説明した後、チュートリアルの成果と大阪私学美術展での3冠(大阪府知事賞・大阪市長賞・美術館長賞受賞)V3(三年連続の学校団体優秀賞受賞)達成の2つを報告しました。
9月末竣工予定の新校舎A3(エーキューブ)につき、建設資金はすべて自前で賄い、現状、本校には借入金がなく財政状況は健全であると申し上げた時は、それまでメモを取りながら聴いておられたみなさんが一斉に顔をあげられたのが印象的でした。
また例年のことですが生徒との思い出を少しお話いたしました。校長室には家庭の悩み、友人とのトラブル、先生に対する不満など、様々な相談に生徒が訪れます。昨年は今までの最長となる4時間、話を聴いたケースもありました。何度も相談に乗った生徒たちが挫けそうになりながらも困難を乗り越え元気に卒業、進学し、8月のオープンスクールに妹を連れてきてくれたり、校内案内を手伝ってくれたりしてくれたことをお話しました。みなさん頷きながら大変熱心に聴いてくださっていました。
「本来ならば、校長室をオープンにして私が直接生徒の話を聴かなくてもよい学校が理想なのでしょうが、残念ながらそうはいかないのが現実です。一人でも多くの生徒が長い間つらい思い、悲しい思いをせずに済むように、そして挫折を乗り越え幸せな人生の一歩を踏み出せるようと思うと、直接話を聴く機会をなくすわけにはいきません」と申し上げた時、以前、私の長いスピーチを諫めてくださった塾長さんと目が合いました。優しく微笑みながら大きく頷いて下さいました。
そして最後に、私はモットーとする「教育は義理(道理)と人情(慈しみ)と浪花節(合理的でない心と心のふれあい)」の旗を降ろすことなく、「それは本当に生徒のためになるか」を追究し、ぶれることなく教育に邁進する覚悟を改めてお誓いいたしました。
説明会が終わり何人かの先生とお話をさせていただきました。特進コースに3人生徒を送ってくださっている先生は模試での飛躍的な成績の伸びを大変喜んでくださっていました。また、会場の出口でお見送りをしておりましたら、少し涙目でアンケートを持って来てくださった先生がおられました。なんと、私が4時間、校長室で話を聴いた生徒がお世話になった塾の先生でした。私は全く存じ上げていなかったのですが、常々お母様から話を聴いておられたようで大変感謝をしてくださっており嬉しく思いました。
会場を後にし、廊下で新校舎を眺めながらお話しさせていただいた先生もまたこの10年間ずうっと本校を見続けて下さっています。「校長が来られ好文学園に変わり様々な改革を進めてこられましたが、考えておられたことはほぼ実現できたのではありませんか。この先はどのようにしたいと考えておられますか」との質問をいただきました。私は専門コースのさらなるレベルアップ、標準Ⅰ類コースの整備・拡充を考えていることを申し上げました。
そして「今日お話ししたような生徒たちに出会えて、実は励ましているつもりの私のほうが彼女たちから勇気をもらっているんですよ」と申し上げましたら、「いや、校長もすっかりこの道にはまられましたね」と笑っておられました。
多くの先生方が本校を温かく見守ってくださっていること誠に有難く思います。期待に応えるべく、さらなる教育内容の充実と教員育成に尽力せねばならないとの思いを新たにいたしました。