好文木(校長ブログ)
2024.09.28
石破新総裁誕生に思う

 自民党の第28代総裁に石破茂氏が選出されました。9人の候補者が乱立する前例のない総裁選を5度目の正直で制しました。 一足先に野党第一党の立憲民主党党首選では元総理の野田佳彦氏が選出されています。石破さんも野田さんも同じ67歳、片や慶應出身、片や早稲田出身で政界早慶戦の様相を呈してきました。
 石破さんは独特の物言いで好き嫌いが分かれます。元首相の小泉さんや安部さんは「ワンフレーズ・ポリティックス」型のスピーチで人を惹きつけました。これに対し、石破さんは説明型で回りくどい話し方です。「——じゃないかな」というフレーズをよく使います。先ず自分の考えを頭の中で整理し一つ一つ確認するように話す方法なので、一見すると、わかりにくいのですが、よく聴くと論理的です。国語の読解力を試されます。
 キャッチフレーズを多用する「ワンフレーズ・ポリティクス」は聴衆の気持ちをつかみ熱狂を生みますが、ポピュリズムに陥る危険性もあります。SNS全盛の現代においては〇か×か、白か黒かという白黒思考にはまりやすいので、じっくり考えてみることが必要です。そういう意味では石破さんのスピーチは国民に考えさせるには良いのかもしれません。
 野田さん、石破さんと私とは同世代です。スケールも立場もまったく異なりますが、スピーチをする機会が多いことは共通しています。私はキャッチフレーズも使いますが、「—–じゃないかな」も多用しています。生徒に押し付けるのではなく考えさせる手法を敢えてとっています。
 石破さんが総裁選後の挨拶で、「自由闊達な議論ができ、公平公正で謙虚な自民党に戻りたい」と呼びかけ、外交においては「主体性」に言及していました。私は共感を覚えました。というのは、私もまた昨年2学期の始業式で「自由闊達にして愉快なる学園の建設を目指そう」と生徒たちに呼びかけていたからです。そしてそのためには生徒の主体性を育てることが大事であり、生徒の主体性を育てるには教員が主体的に行動しなければならないということを話しています。
 多種多様な意見を持つ人々が集う組織を改革することはなかなか根気のいることですが、「どうせ言っても何も変わらない」と皆に思わせてしまったら、凋落の一途を辿るのは国も学校も同じです。ともにここが正念場かと思います。

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