今年も何人かの生徒の面接指導を行いました。進路指導部から依頼された就職希望者の面接練習もあれば、生徒が自発的に頼みに来たケースもありました。
共通して言えることは、自己PRや自分の長所について、「リーダーシップがあります」とか「積極性があります」、「協調性があります」、「努力家です」など自ら述べる生徒が結構多いことです。当然、担任の指導を経ていると思うのですが?
この場合、私は常に「それはね。自分で言っちゃダメなんだよ。人が評価するものだから」と先ず話します。そして次に「自分でそう言える具体的なエピソードを述べて、最後に「——することが出来ました」でしめればいいんだよ」とアドヴァイスをします。みんな「なるほど」とすぐに理解してくれます。こういう基本的なことは最初にしっかりと教えてあげねばならないと思います。
志望動機についても、それはこの企業あるいはこの大学に限ったことではなく他にも当てはまるような場合があります。その企業、その大学の特徴をしっかり理解し、そこを突くことが必要です。「今の話は他の企業(大学)にも当てはまるよね。志望している企業(大学)ならではの売りは何かな?」と訊ねます。すると生徒は独自の研修プログラムや訪問時の印象に言及します。これでかなり具体的になります。
また、その職種、その学部を選んだ理由についても抽象的なこと、誰にも当てはまることではなく、自分ならではの体験や理由を見つけて述べることが大事なので、生徒との話の中からそれを探し出します。こうするとその生徒独自の志望動機が見えてきます。
事前に用意している志望動機や自己PRを暗記して言おうとする生徒も多いのですが、途中で忘れてしまって詰まってしまします。「どうしたらいいですか?」と訊ねてくるので、「暗記しようとしないこと。話す順番はしっかり頭に入れておかねばならないけど、あとは事前に書いた内容とそっくりそのまま言おうとせず、その趣旨を伝えられる言葉を使えばいい」とアドヴァイスします。そして就職希望の生徒には、面接者の判断基準は「この人と一緒に働きたいか。この人を自分の部下にしたいか」だということを知らせます。だからコミュニケーション能力が大事で、自分の言葉で語れるように指導しています。
就職希望のある生徒が「校長先生は話しやすいけど、実際の面接官が怖かったらどうしよう」など心配していました。「今はね、人手不足だから、圧迫面接してたら人は採用できないから大丈夫。気楽に面接を受けてきなさい」と言って送り出しました。「〇日の〇時から○○で面接なので、その時間祈っておいてください」というので、実際にその日その時間、校長室からその会社の方角に向かって手を合わせました。
しばらくすると、「校長先生、内定もらえました。面接練習ありがとうございました」と喜んで報告に来てくれました。「よかったね、祈った甲斐があったよ」というと、「え、本当に祈ってくれたんですか」と、二度喜んでくれました。喜ぶ生徒の顔が何よりの報酬です。