
日経新聞によると、アパレル大手のワールドは服飾デザインに生成AIを全面的に起用し完売する商品も生んだと伝えています。
2024年から挑戦しましたが、ブランド観が伝わらずまともなデザインは生まれなかったそうです。デザイナーが暗黙知でやり取りするブランド観を分かりやすい言葉にできなかったのです。例えば「もう少し抜け感を」といえばデザイナー同士では通じるのですがAIには理解できません。私自身も聞いたことのあるような言葉で、「なんとなくすっきりした感じ」と捉えていました。
そこで逆転の発想に出たそうです。「抜け感」のある自社ブランドのコレクションの写真数十枚をAIに読み込ませ、その特徴を解析させたのです。すると、「ごく薄い透明な生地で、肩の力が抜けた上品な質感」と詳細な説明が出てきました。ターゲット層の情報も追加入力し、ブランドの特徴について数十ページもの文章を作り上げたそうです。これを繰り返しセンスを磨いたAIをデザイナーに起用し新ブランドを立ち上げ、いきなり完売する商品を出したというのです。人間のデザイナーでは固定観念があり思いつかないようなデザインだったそうです。
この記事を大変興味深く読みました。というのも、私は「センス」をどう伝えたらよいかで悩んでいるからです。「自由闊達にして愉快な学園の建設」を謳い、生徒教職員ともに主体性とセンスが必要だと言っています。この「センス」という言葉は何気なく使っているのですが具体的にどういうことか説明するとなるとなかなか難しいものです。ある時、デザイナーの水野学さんの本を読んで、「センスの良さとは数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力」と知り、大いに納得をし、説明時にこれを使わせてもらっています。これで分かってくれるだろうと思ったのですが、これがどうしてなかなか理解できない大人が多いのです。最適化ということに引っ掛かるのでしょう。基準が欲しい、白か黒かはっきりさせたいというのですが、そもそも白黒思考と最適化思考とが矛盾することに気が付いていません。センスの良い制服の着こなしとはどういうものか。着こなしが良い生徒モデルの写真を数十枚読み込ませてその特徴を解析・把握したAIに判断させたほうが最適化できるのではないかと思った次第です。
写真は今年の第75回私学美術展立体部門で奨励性をもらったタイトル『私の世界』という3年生の作品です。楽しそうな作品なので玄関に飾っています。







