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好文木(校長ブログ)
2021.03.22
令和2年度3学期終業式講話

 先週は2年生の修学旅行でした。コロナ禍により昨年11月の予定を時期・場所・期間を大幅に変更しての実施となりましたが、久しぶりにみんなの笑顔に出会えてうれしく思いました。
 さて、人類に代わってAIが文明を担える水準に達する時期のことをシンギュラリティ(技術的特異点)といい、2045年がその時期だと言われています。あと25年です。私には無理かもしれませんが、みなさんは確認できるでしょう。
 2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの受賞後初めての長編小説『クララとお日さま』は、AI(人工知能)を搭載したAF(人工親友)クララと病弱な少女ジェシーとの日常を描いた物語です。新聞の書評で興味を持ち、読んでみました。
 物語の背景には、格差社会が色濃く影を落としています。AIに仕事が奪われて快く思っていない人がいます。AFにB2型と新型のB3型の、また、子供たちにも「向上処置」された子供とされていない子供との格差があります。向上処置されていない子供でも受け入れてくれる大学が1つだけあり、ジェシーのボーイフレンドの母親はそこに息子を入れようと伝手を頼ります。
 クララはジェシーに買われる前に既にかなりの情報をインプットされており、人の気持ちを理解する機能を持っています。アトムやドラえもんと同じです。ジェシーとの生活の中で、さらに経験を積み知識を増やしていきます。時に、ジェシーや母親から、アドバイスを求められることもあります。様々な人間模様が絡み合う中で、クララはひたすらジェシーの幸せのために尽くそうとします。
 現在のところ、心や感情を持ったAIは開発できておらず、ここが人間と大きく異なる点だといえます。しかし、心や感情というものは人間においても、生まれた時から備わっていたものでしょうか。成育歴の中で様々な体験をし、そこから学んでゆくものではないでしょうか。そういう点ではAIと変わらないのかもしれません。
 読み進むうちに、クララがAF(人工親友)だということを忘れて、人の気持ちを一生懸命に理解しようとする一人の健気な少女に感情移入してしまいました。とても心温まるそして少し切ない物語です。春休みの読書に加えてみたらどうでしょうか。
 さて、4月に入学する新入生は4年ぶりに300人を超え325人となりました。みなさんはそれぞれ2年生、3年生として、新入生を温かく迎えるとともに、彼女たちが一日も早く好文生になれるようよろしくお願いします。

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