2018.11.14
君の努力に乾杯!君の前途に乾杯!


 随分寒くなってきた今朝、風に吹かれていつものように校門に立っていると、3年の生徒が、「校長先生のところにも届きましたか?」と駆け寄ってきました。「いや、何?」と答えながらも「入試の結果が出たのかな?」と思っていると、「志望校、合格しました」との返事。「おめでとう!」というと、「先生のお陰です。本当にありがとうございました」と満面の笑顔。彼女の苦闘に想いを馳せ胸がいっぱいになり思わず目頭が熱くなりました。
 彼女は一年生の終わりに「英語を教えてくれませんか?」と校長室にやってきました。
 基礎ができていないというので、基礎固めの英文法のワークブックを春休み中に校長室で一緒にやることにしました。単元の進み具合に応じて一回一時間から二時間やりました。
 当時の手帳を見ると「Be動詞」から「前置詞」までの18単元を8回でやっていました。
 わからない単語が出てくるとすぐに私に尋ねるので、「辞書を引いて調べてごらん」と、自分で調べる癖をつけるようにしました。最初はBe動詞と一般動詞の区別や人称も曖昧でしたが、私が説明のために書いたメモをノートに貼って真剣に勉強していました。個人的に悩みを抱えており何度か相談に来ました。辛そうな顔をしているときは私から声をかけて話を聴いたことも度々ありました。
 彼女には心に秘めたある夢があります。その夢を実現するために看護師への道を選びました。担任はじめ多くの先生が彼女を応援してくれました。学年が上がるに従い、自らの状況を自分である程度コントロールできるようになってきたようでした。最近では「過去と他人は変えられないが自分と未来は変えられる」と信じて受験勉強に傾注しているように見えました。
 受験が近づいてきたので担任に状況を訊ねると、第一志望校にはちょっと手が届きそうもないとのことでしたので、第二志望、第三志望も考えておいたほうが良いとアドバイスをしていましたが、見事、公募推薦入試で第一志望校の合格を手にしました。
 「正直なところ合格可能性はかなり低かったのですが、言われたことを着実に繰り返し繰り返し勉強する努力家だったので、それが合格に結び付いたと思います」と本人の努力を褒める担任の顔にも満足感が溢れていました。
 「能力を開花させるために努力するという優れた性質は恵まれた家庭や幼少期の社会環境によるところが大きい」という政治哲学者ジョン・ロールズの言葉をしみじみとかみしめざるを得ないこともあり、その時は虚しさで気持ちが重く沈んでしまいます。しかし彼女はこのロールズの説を見事に覆してくれました。彼女は自分が苦労してきただけにきっと人の痛みが分かる良い看護師になると思います。彼女の合格を祝い夢が叶うよう前途を心から祝福したいと思います。

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