好文木(校長ブログ)
2025.03.22
ディープフェイクの時代

 教育分野でもAIの利用が進んでいます。総合型選抜入試や学校推薦型選抜入試の小論文や志望理由書の書き方を指導するAI添削システムも開発されています。悩みの相談をAIにする大学生も多いと聞きました。AIは決して否定しないそうです。膨大なデーターを学びその中から最も適した答えを導くというアルゴリズムにより、東大入試の数学でも高得点を取れるまでに成長しています。
 3月18日のNHK特集「創られた“真実”ディープフェイクの時代」を観て、AIの進歩に改めて驚くとともに脅威を感じました。
 生成AIが本物そっくりの画像や動画を作り、生保会社から大量の顧客情報を流出させたり、偽の動画でいじめの被害者を加害者に仕立て上げたりということをドラマ仕立てで描いていました。実際に韓国ではフェイクポルノが社会問題となり、英国では日本円にして40億円が企業から搾取される詐欺事件が起きています。最近はSNS上に自分の画像や動画を気楽に載せていますが、これを使いフェーク動画が創られてしまうと、無実の罪に陥れられることもあり得るのです。
 ディープフェイクについては世界中で規制が課題となっていますが、インタビューに答えた専門家は、「AIの技術進歩が目覚ましいので、ディープフェイクかどうかを見抜くのは年々難しくなってきており、AIでなければAIを見抜けない」と話していました。いよいよAIに支配される世の中になってきたのかと背筋が寒くなりました。
 AIやSNSは大変便利で効率的なツールで我々の日常生活に大きな変化をもたらしています。しかし一方で、AIやSNSのシステムを作り所有できる一部の人びとによってその他大勢がコントロールされることが容易になってきました。ここに私たちが常に学び社会の変化に敏感になっておかねばならない理由があると思います。学びは自立を促すとともに詐欺から身を守ることにもつながるのです。

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