好文木(校長ブログ)
2024.07.09
東京都知事選挙に思う

 東京都知事選挙ではポスターの掲示を巡り前代未聞の事態が起きました。表現の自由への規制に抗議するとしてほぼ全裸の女性のポスターが張り出されました。ポスター枠の事実上の販売を行った政党もありました。一定の寄付者が自分の好きなポスターを貼れるようにし、候補や政策のPRとは全く関係のないものが大量に貼り出されたのです。1976年最高裁は選挙管理委員会がポスターの内容の削除や修正を候補者に求めるのは認められないとの判決を出し、ポスターへの表現規制は困難とされました。また、政見放送においても途中で制止できないことを良いことに、政策は一切話さず、服を脱ぐなど過激な行動に出て、「可愛い」を連呼するというふざけた行為もありました。公権力の介入を避けることで選挙の自由を最大限確保しようという考え方のすきを狙ったような行為には呆れを通り越して怒りさえ感じます。このようなことが横行すると規制を強めようという動きになり、逆効果です。表現の自由や選挙ポスターの意義を問いたいならもっと他のやり方があったと思います。ウイットもユーモアもなく実にセンスが悪いです。今回の都知事選は海外にも民主主義の何たるかを正しく理解していない日本人のセンスの悪さの一端を露呈したこととなり恥ずかしい限りです。
 本校では「自由闊達」を掲げて規制をなくす方向に動いています。その際のキーワードは「常識と良識そして論理的」です。世間一般の常識に照らしてどうか。良識に見合うか。論理的に説明ができるのか。学校というのはルールや規制が多いものです。それは基礎基本を身につけさせ安全を担保するためなのですが、行き過ぎると自分の頭でものを考えずマニュアルがなければ何も行動できなくなってしまいます。教員も生徒もともに思考停止に陥ってしまいます。センスある教員と生徒が多い学校には公立私立を問わず細かい校則はありません。大事なことは自分の頭で考える癖をつけることです。水野学さんの言う「数値化できない事柄の良し悪しを判断し最適化する能力すなわちセンスの良さ」こそが個人の自立を促すとともに、民主主義を支える基となると思います。

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