日曜日、懐かしい人たちとお昼を一緒にする機会に恵まれました。本校に来る前、私は大学卒業後7年間の商社勤めの後、実家の中小企業の経営に携わっていました。その折メインバンクとして取引があったメガバンクの元支店長を役員として来ていただき10年近く一緒に仕事をしました。性格の穏やかな方でよき相談役として私を支えてくださいました。難題を一緒に一つまた一つと解決していった日々を懐かしく思い出します。その頃弊社の担当に勉強熱心な若手の行員がおり、度々オフィスを訪ねて来ては仕事の話は早々に切り上げて雑談をして帰っていったものでした。この二人と会食をしたのです。
元役員だった方は御年89歳になられました。当時若手だった担当者も既に56歳となり、現在メガバンク系列の証券会社のシンガポール支店に勤務。「クリスマス休暇で帰国したので3人で久しぶりにお食事を」とメールをくれたのです。
出会いは、彼が20代後半、私が30代後半の頃。30年の時を超えて、お互いに職場が変わったにもかかわらずなお連絡をくれることを嬉しく思います。支店長や課長が来られると私が対応しておりましたが、若い担当者が来て経理担当と話をしている場にも私はよく顔を出していました。通常銀行は2~3年で転勤になり、支店長も担当も次々に交代します。そんな中で彼は印象に残る担当者でした。まったく気負ったところがなく飄々とした物腰が柔らかい好青年でした。彼は高卒で一旦自動車会社の工場勤務を経験したのち、一念発起して大学に入り英語に磨きをかけました。銀行時代にはロンドン大学への留学も経験しました。久しぶりに会った彼はさすがに年相応の円熟味は増したものの当時と少しも変わらず穏やかでスマートでした。シンガポールや香港の話、ピアニストを目指している高2のお嬢さんの話など楽しそうに語ってくれました。充実した生活を送っていることがよく分かりました。
商社時代の同僚やお世話になった外資系の取引先の当時の部長さんともお付き合いが続いています。こちらは40年を優に超えます。商社のオフィスは外苑前にあり、取引先のオフィスがある青山一丁目まで歩いて10分ぐらい、時々訪問しては教えを乞うたものです。この方も既に90歳を超えられましたが、お元気で時々世相についての感想を訊ねる電話やメールを下さいます。
振り返れば、それぞれの職場で様々な人に出会い良い勉強をさせてもらったと思います。これから社会に巣立つ生徒たちは、新しい環境に不安を抱いていると思いますが、新たな出会いに大いに期待してほしいと思います。人は人とともに生きることを忘れずに。