日本経済新聞の『私の履歴書』は、政治、経済、文化、スポーツなど各界で大きな業績を残した人物がその半生を語る1956年から続く名コラムです。一人の人物につき1か月間に渡り毎日シリーズで掲載されます。今は伊藤忠商事会長CEOの岡藤正広氏の連載です。
私は大学卒業後、伊藤忠に就職し仕事の基本を学ばせていただきました。当時の上司から岡藤さんの噂を聞いていたこともあり、久しぶりにこのコラムを毎日読んでいます。伊藤忠の祖業ともいえる繊維部門でイヴ・サンローランやジョルジオ・アルマーニ等ヨーロッパの高級ブランドと次々に契約を締結し繊維部門に新境地を拓いて行く過程がドラマティックに描写されており、朝刊を楽しみにしています。岡藤さんのやんちゃっぽい反骨精神も魅力です。
子供の頃、私は伝記を読むのが好きで歴史好きになりました。『私の履歴書』は大人向けのそして今活躍している同時代の人々の生き方が学べる伝記です。私がサラリーマン時代は、日経新聞を読み、『私の履歴書』を読むことがいっぱしのサラリーマンの心得みたいなところがあったものです。失敗は成功の基というように、このコラムに登場する人物はみな大なり小なり失敗や挫折を経験しています。それをどう乗り越えていったかがわかるのがこのコラムの醍醐味です。以前、俳優の山崎努さんがこのコラムに登場しました。今回、『「俳優」の肩ごしに』というタイトルの自伝が文春文庫から出ているのを見つけ、早速買ってきて読み始めています。
先日、修学旅行を依頼している旅行会社の若い担当者が訪ねてきました。事務的なことで失礼があったのでお詫びに来たとのことでした。聞くと入社4年目とのこと。私も伊藤忠で4年目の頃は色々失敗もあり上司から叱られることも多々ありました。彼が痛く恐縮していたので、私の当時の失敗や叱責されたことなど話して聞かせるとともに、『私の履歴書』を読むことを勧めました。