好文木(校長ブログ)
2018.07.23
そこに愛はあるんか?

 最近、「あんた、そこに愛はあるんか? 信じられる愛はあるんか?」と女優の大地真央さん扮する料亭の女将が料理長に問うテレビCMがあります。大地さんの芝居がかった大仰な言い回しがコミカルですが、心に残ります。
 生徒指導の要諦は「傾聴と共感」だと、ことあるごとに教員に話していますが、残念ながら実際の生徒指導において、「傾聴と共感」をもって生徒に対応できていないのではないかと感じることがしばしばあります。
 クラスやクラブでの友人とのもめごと個人的な事情など生徒が抱える問題は種々あるのですが、最近は、こういったトラブルに対する生徒の耐性が弱まっているのも事実で、丁寧な対応をしなければ、安易な結論を出して学校をやめると言い出しかねません。
 また、時にわがままや屁理屈としかいえないようなことを言ってくる生徒もいます。しかし、彼我の知識や情報量そして置かれた環境の違いを考えれば、腹を立てず、そのような言動に出る原因を探り、コミュニケーションが図れるようにしようとの前向きな思考を働かすところに教師の役割があります。生徒と同列になって「いくら言っても言うことを聞かない」と怒っているようでは大人ではありません。
 お互い相手をよく思っていなければそれは言葉や態度に現れるものです。そうなると、教員の話を「わかった」と生徒が言ったとしても、それは心底納得したものではなく「もういい」という意味です。生徒との間に信頼関係がなければどんな指導も効果なく、自分の気持ちをちっとも理解してくれないという諦めに終わります。
 教員も色々です。校務に得手不得手がありますが、生徒に対する愛情が持てないようなら教師には向いていないと思います。もし、指導がうまくゆかず悩むことがあるなら、「あんた、そこに愛はあるんか? 信じられる愛はあるんか?」と改めて自らに問い質してみてはいかがでしょうか。

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