好文木(校長ブログ)
2023.09.16
アートのある日常

 今夏開催の第72回私学美術展において、本校は7年連続で学校団体優秀賞をいただき、5年連続で3年生が大阪府知事賞を受賞しました。生徒が作品を制作している現場を訪れ、「これはいけるな」と思った絵が昨年も今年も知事賞に選ばれました。「私の審美眼も捨てたものではないな」と自画自賛しています。
 今年の知事賞作品は『引き摺る温もり』です。作者の様々な持ち物を引き摺り出してきて描いた写実的な油絵です。一つ一つに思い出が詰まっていて温もりを感じるのでしょう。今年も天王寺の大阪市立美術館が改修工事中で使えないため、江之子島文化芸術創造センターに優秀作品のみ展示されましたが、さすがに秀作揃いでした。
 江之子島は規模が小さいので、優秀作品しか展示できないのですが、天井が低く小部屋もあるので、ギャラリーで観る感覚に近く、作品を鑑賞するにはこちらのほうが私には適しています。天井が高く大空間に沢山の作品が並べられていると、目移りがするというか、一つの作品をじっくりと味わうことができません。本当にゆっくりと作品に向かい合うには美術館よりギャラリーや小さな画廊のほうがいいでしょう。
 BS日テレのドキュメンタリー番組『小さな村の物語り 』はイタリアの田舎の小さな村が舞台です。家族を大事にしながら自然とともに生きている人々の姿に心が癒されます。本当の豊かさとは何かを考えさせられます。そして、家にはセンスのいい小品のアートが飾られています。ヨーロッパに何度か旅をしましたが、銀行でも個人宅でも絵が飾られ、アートが日常生活に馴染んでおりセンスの良さを感じました。フランスやイタリアに世界的なブランドが育つ素地がここにあるのだと思います。
 本校では美術棟の一階にギャラリーを設けたので生徒作品の展示ができるようになりました。ロールカーテンを開けると芝生の緑が目に飛び込んできます。おしゃれなソファでも置けばカフェもできそうです。校長室にも卒業生の作品を何点か飾っています。今度制作者に交渉して知事賞作品を飾らせてもらいたいと思います。高額な作品を美術館で観るだけではなく、身近なアートを身近で楽しむことが日常生活に潤いを与え感性を育てるのではないかと思います。

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