一昨日、10年前の卒業生が3人、学校に来てくれました。先日の卒業生の結婚式で一緒だった1人がクラスメイトを誘って来てくれたのです。当時の担任に新しい施設を案内してもらい、ひとしきり話をした後、知っている先生がいないか廊下から職員室を覗いていたのを見つけ、校長室から出て声を掛けました。
小さな子供連れで寒い廊下では気の毒だと思い、校長室に案内しました。バレー部員とソフトテニス部員だった卒業生は、校長室に入るのは初めてのようでしたが、もう一人が「私は入ったことがあります。学校をやめたいと言って、校長先生に止められたときに。」というので、「そんなことがあったかな。なぜ学校をやめたかったの?」と訊ねますと、「スカート丈を短くしていたり、決められた通学路でない道を通って帰っていたのを見つかったりして注意を受けたので、」とのこと。今考えると、さしたる問題ではないのですが。旧姓を聞き、一瞬マスクを外してもらって誰だったかわかりました。
彼女たちが入学した13年前は、私が校長に就任して2年目、新たに教育方針や理念を制定し、それを根付かせようと教職員と生徒が一丸となって学校改革に邁進していました。今では本校の特色の一つとなった年中緑の天然芝のグラウンドも、彼女たちが入学した時に彼女たちの手で苗を蒔いたものです。3時ごろ来た3人は、自分たちの頃にはなかった施設を見学し、懐かしい先生たちと昔話に花を咲かせ、久しぶりの母校を堪能して5時半ごろ名残惜しそうに帰ってゆきました。このように卒業生が戻ってきてくれることを大変うれしく思います。
帰り際に玄関のクリスマスツリーで記念の写真を撮りました。一度退学を考えたという彼女は「ああ、これ、写真撮っとかないと。この言葉、私らの時は学年集会などで担任から何度も聞かされて、すっかり頭の中にしみこんでいるから」と言って、玄関に掲げられているキャッチフレーズ「やればできるは魔法の言葉 自分サイズの未来を拓く チャンスメーカー好文学園」をしっかりと写真に収めていました。その姿を見て、少なからぬ感動を覚えました。卒業生の「こころのふるさと」となるように、「ビジョナリーカンパニー」ならぬ「ビジョナリースクール」を目指して、基本理念を維持し、進歩を促すことを怠ってはならないと、覚悟を新たにした次第です。