好文木(校長ブログ)
2021.12.02
名優逝く

 今年も早いものでもう師走に入りました。国内では新型コロナウイルスの感染者が低水準で推移しており、来年こそは明るい年になるかと思っていた矢先、オミクロン株の流行が始まり、逆戻りの危惧を抱かざるを得ません。
 歌舞伎役者で人間国宝の中村吉右衛門さんが亡くなりました。また一人、名優が去りました。2012年8月21日の好文木にて「『鬼平』に学ぶ」と題して書いたように、私は池波正太郎氏の「鬼平犯科帳」が好きで、特に吉右衛門演じる鬼平こと長谷川平蔵のフアンでしたので、大変残念で寂しく感じます。
 遊び好きで少々軟弱な同心、木村忠吾に対する平蔵の厳しくも温かい接し方には、理想の上司像、リーダー像を見る思いがします。『鬼平』の魅力は、「ちょっとひねった近代性がある下情の通じ方」(元外相 伊東正義氏)であり、失敗に対する寛容な姿勢、「マイナスの中にプラスを探す」(評論家 佐高信氏)温かみです。
 信頼関係を築きコミュニケーションを成立させるためには、傾聴と共感をもって接することが、前提条件となります。『鬼平』には最初に、人は失敗をするものだという思いがあります。「人というものは良いことをしながら悪いことをし、悪いことをしていながら良いこともして生きていくものよ」という平蔵の口癖を常に頭に浮かべながら、私は生徒に対応しています。
 私にとって人生の教科書ともいえる「鬼平犯科帳」、その主人公を名演した中村吉右衛門さんのご冥福を心からお祈りしたいと思います。

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