
元FRB(米連邦準備理事会)議長アラン・グリーンスパン氏が亡くなったとの新聞記事に往時を思い出しました。グリーンスパン氏は1987年から2006年まで18年間にわたりFRB議長を務め、1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、1998年のロシア通貨危機や大手ヘッジファンドLTCMの経営破綻などを乗り切りマエストロ(巨匠)と言われ絶大なる信頼を得ました。一方で、住宅バブルとサブプライムローンから発した2008年のリーマンショックを見逃したとの批判もあります。
しかし、在任中に起きた数々の金融危機をその采配で乗り切ったことは事実であり歴史に残るFRB議長だったと思います。グリーンスパンといえば「根拠なき熱狂」(IrrationalExuberance)という言葉を連想します。これは1996年の講演において米国株価の上昇に対して警告を発したもので、合理的でない資産価格の高騰はバブルであり、いつはじけるかわからないから用心すべきだとのメッセージでした。また、IT革命により生産性が向上しインフレを伴わない経済発展が可能だとの考えも示しました。
彼の在任期間は、私が本校に来る前ビジネスの世界にいた頃で、今以上に関心をもって世界経済の動向を注視していましたので、グリーンスパン氏は極めて印象に残る人物でした。立て続けに起こる金融危機から500年にわたるバブルの経済史にも興味を持ち、ガルブレイス教授やヘッジファンド創設者のジョージ・ソロス氏の本を読んだりしました。暴落の前には今までと違う何か新しい技術などが発明され、それが万能のように思われることや、権威を盲信せずそのもととなる学問を学び自分なりの理論を持つこと、歴史や哲学を学ぶことの重要性を認識しました。
神の領域にまで近づきつつあるといわれるAIの進歩を前に、再びバブルの様相を呈しているマーケットです。グリーンスパン氏が100年の生涯を全うした今、独立性を保ち、政権に物言える中央銀行総裁がどれだけいるのか心もとなく思います。







