好文木(校長ブログ)
2023.09.11
モヤモヤする力

 9月6日NHKクローズアップ現代は「モヤモヤする力」を特集していました。現代社会は効率性を追求し、チャットGPTは瞬時に答えを出してきます。これと対極にあるのが「モヤモヤする力」です。すぐに解決できない事態に結論を急がず答えのない状況に耐え迷うことで、ネガティブケイパビリティと言われています。性急に正解を求めずじっくり考え抜く力が創造性を生みます。
 本校は「個性創造」をスローガンにしています。基礎基本を身につけたうえで花開く独創性や表現力を意味します。スローガンの実践が顕著なのがメディア芸術エリア、特に美術部の活動です。今年で大阪私学美術展では学校団体優秀賞を7年連続、大阪府知事賞を5年連続で獲得しています。また、黒板アート甲子園でも最優秀賞、優秀賞に輝いています。
 美術作品には正解はありません。1か月、2か月とじっくり時間をかけて試行錯誤しながら作品を仕上げてゆきます。私はしばしば制作中の作品を観に行きます。そして、どういうテーマなのかを訊ねます。返ってくる答えを聴くたびに生徒たちの発想の豊かさや奇抜なアイディアに驚きを感じます。迷って悩んだ末に完成した作品は独創的です。これはまさにネガティブケイパビリティ「モヤモヤする力」の成果だと思います。
 企業における新規企画や新製品開発など斬新なアイディアは、一朝一夕に生まれるものではなく「モヤモヤする力」によるところが大です。しかし、通常の学校生活においては、この「モヤモヤ」を経験するよりいかに早く正解に辿り着くかを競う場面が多いのではないでしょうか。これはこれで大事だと思いますが、これのみでは今後AIに取って代わられてしまいます。
 2学期から校則等の見直しを含め、「自由闊達にして愉快な学園を築く」にはどうしたらよいかを考えてもらいます。大上段に構えたテーマではなく、全校生徒に身近な関心事について「モヤモヤ」する時間を取ろうということです。そして生徒だけでなく教員にも大いに「モヤモヤ」してもらおうと思います。

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