好文木(校長ブログ)
2024.08.20
夏休みの読書

 夏休みが終わり教員は今日から出勤です。26日の始業式までの一週間、21日から23日までコース体験会とクラブ体験会があります。今年の大阪私学展は昨年に比べて全体の来場者数が増えていたようで、本校ブースへの相談者数も多くなりました。来年度入試に向けての生徒募集活動が佳境に入ります。
 1学期の終業式で、生徒たちに読書を勧めましたが、私も夏休み中、何冊かの本を読みました。遠藤周作の『夫婦の一日』、『眠れぬ夜に読む本』。そして原田マハの『まぐだら屋のマリア』、『リボルバー』、『リーチ先生』、『ジヴェルニーの食卓』。このところこの二人の作家の作品に惹かれています。遠藤さんの小説は生と死をテーマにしたものが多く、その中で苦悩する人間の姿を描いています。キリストが鞭打たれ十字架にかけられるまで苦しみぬいた姿から、現世の苦悩から逃避してあの世での幸福を願うのではなく、現世での苦しみに耐えて生き抜くことにこそ救いがあるという考えを伝えようとしています。
 今回の原田さんの小説では、ゴッホ、ゴーギャン、マチス、ドガ、セザンヌ、モネそしてバーナードリーチの人生の旅に同伴させてもらいました。『まぐだら屋のマリア』のように、キリスト教の題材である「マグダラのマリア」にちなんでいるものの、内容はアートとは関係ない小説もありますが、これはこれで大変面白かったのですが、多くのアート小説は実在の芸術家の詳細なデーターに基づくノンフィクションにフィクションを盛り込むことで、「さもありなん」の感覚を呼び起こし、ノンフィクションであるかのような錯覚をもたらすところが実に見事です。読後に余韻が残り、作品を鑑賞する眼が変わる気がします。
 今は、趣を変えてピューリッツァー賞を受賞したバーバラ・W・タックマンの『八月の砲声(上)(下)』に取り掛かっています。これはサラエボに響いた一発の銃声がヨーロッパに戦火を巻き起こした第一次世界大戦を巡る国際政治情勢を描いた戦争ノンフィクションです。たまたま書店の店頭で見つけました。私にとっては第二次世界大戦に比べると、今ひとつ分かりにくかったのが第一次大戦でしたので、この際勉強しようと考えました。
 小説は興味が湧けば同じ作家の本を続けて何冊か読むのが最近の私の読書法です。また、あとがきは内容の再確認とともに次の本への道案内にもなるので必ず読むようにしています。小説の面白さは人の心情に触れることにより感受性を高められることだと思います。コミュニケーション能力は感受性が豊かでなければ向上しません。そして感受性が豊かであって初めて傾聴と共感が可能となります。コミュニケーション能力向上のためにも小説を読むことは大事だと思います。

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