好文木(校長ブログ)
2025.06.17
小説を読む意義

 私は論理的思考と想像力はコミュニケーションの両輪だと考えています。人の気持ちを理解し共感するためには想像力が欠かせません。想像力を付けるためには小説を読むことが良いと思い、生徒にも勧めています。夏目漱石は『草枕』の冒頭で「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される」と言っていますが、世の中は論理的思考と人情のバランスが必要
です。
 6月16日の日経新聞「教育のあす」には「「文学」に触れる意義を問う」と題したコラムがありました。今年の東大文系の国語に小説が出題されたことが取り上げられています。文学的文章を通じて思考力や表現力、想像力が養われるとしています。全く同感です。22年から実施された高校の新課程では以前の選択科目が「論理国語」と「文学国語」に再編されました。当初、「論理国語」ばかりが選ばれて「文学国語」が軽んじられ、小説に触れる機会が減るのではないかという懸念もありましたが、流石に東大だなと思いました。
 学校では、生徒や保護者とのコミュニケーションが上手に取れない教員が問題を作ってしまうということがしばしば起こります。ちょっとした気遣いや使う言葉でトラブルは回避できます。それは相手の状況を想像する力そして共感力の問題だと思います。特に昨今は繊細な生徒が増えているので従来型の指導では生徒に寄り添うことができません。教員にももっと小説を読み文学に触れる機会を増やしてほしいと思います。
 本はただ読むのではなく、「考えながら読む」ことが大事なのですが、小説では自分が主人公になり切ってみると違った世界が見えてくるのではないでしょうか。

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