創立90周年事業の一環として行おうとしている図書館とレストランのリノベーションにつき、生徒と教員のアンケート結果から応募4社のうちの2社に絞られました。この2社には再度レイアウトの調整と価格の提示をお願いすることになりました。来年の夏休みに工事を終えて秋から使用開始となればいいなと思っています。
　そんな折、三年生のある生徒から私の推奨する本を訊ねられました。彼女は大学のための奨学金申し込みに必要な小論文を見てほしいということで校長室に来ました。なかなかよく書けていました。段落の入れ替えや繰り返しの削除など少しだけアドバイスをしたのですが、その時に私の推奨する本を訊ねられたのです。その時は「アート小説の原田マハさんが面白いよ」と作家の名前だけを紹介したのですが、家に帰り「ちょっと不親切だったかな」と思い返し、本棚を見て推奨したい本をいくつか選び、原田マハさん、遠藤周作さん、若手の染井為人さんなどの本をメモに書きました。翌朝、いつものように玄関に立って生徒たちを迎えているときに登校してきた彼女にそのメモを渡しました。翌日の朝「校長先生のおっしゃっていたのはこの本ですね」と、原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』を見せてくれました。直ぐに反応してくれたこと、とても嬉しく思いました。
　新しい図書館のコンセプトは、「気軽に本を手に取れる」というもので、別館4号の二階を中心にレストランにも本を置こうと考えています。校長室の前にモダンな椅子が置いてあり、生徒のくつろぎ場所の一つになっています。ここにも小さな本棚にいくつか私の推奨本を置きたいと思っています。実現すれば本について生徒と語らう機会がもっと増えるだろうと楽しみです。