好文木(校長ブログ)
2019.10.09
建前から現実路線へ

 ここにきて朝夕はめっきり涼しくなりました。今朝は校門に立っていると少し寒いと感じるぐらいでした。猛暑の夏にも辟易しますが、寒さの苦手な私にとっては嫌な季節が近づく足音が聞こえます。昼休み、早速新築なったA3のルーフトップ・ガーデンでくつろぐ生徒たちのにこやかな姿を見上げると真っ青な秋晴れでした。
 神戸市東須磨小学校の教員による教員いじめの酷い実態が次第に明らかになってきました。あまりに大人げない言動に情けないを通り越して憤りを覚えます。
 私は以前から、日本の学校は「沢山友達を作ろう」、「みんなと仲良くしよう」等きれいごとの建前が多く、現実離れした理想論を子供に押し付けているのではないかと思っています。この加害者の先生たちもそんな教育の中で育ってきたのではないでしょうか。そして現実とのギャップに反感を持ちつつ子どもたちに建て前を教え続けていたのではないかと思います。そして「みんなと仲良く」が目的化すれば、結局は多数の同調圧力にのまれ我慢を強いられる羽目に陥り不満が鬱積してしまいます。これが爆発すると今回のような事件が起きるのではないでしょうか。
 先日1年生のある生徒が校長ポストに悩み相談の手紙をくれました。本人を呼んで話を聴きましたところ、「クラスの友人とうまくいかず、なんか自分が浮いているように思え、どうしていいかわからない」とのことでした。「嫌がらせやいじめはあるの?」と訊くと、「それは全くありません。話ができる仲の良い友人も数人はいます」とのことでしたので、「仲の良い友達がいるならいいじゃない。全員から好かれる必要はないよ。人には好き嫌いがあって当然だから、マナーを守ってさえいれば、無理にみんなと仲良くしなくてもいいんじゃないか」とアドバイスしました。すると生徒は「え、そうなんですか。私はみんなとうまくやれないとダメなんだと思ってどうしたらいいかわからず困っていたのですが、そういわれると、気分が楽になりました」と笑顔が戻りました。
 心理学者アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」という前提から出発しています。意見の合わない人、嫌いなタイプというのは誰にだってあります。でも、そのような人とも無益な喧嘩やもめごとは起こさず、そこそこうまくやっていかねば生きていくのがしんどくなります。多様な人がいることを前提にして、感情をコントロールし、合意形成を図ることが大事であり、それを学ぶ教育こそ必要だと思います。建て前を振りかざしても何も解決はしません。
 

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