昨日、11月1日に全国公開される映画『ブラック校則』の記念イベントとして、なんばパークス、イベント広場、キャニオンコートにて行われた本校美術部員による黒板アートのライブペインティングを観てきました。
『ブラック校則』はSexy Zoneの佐藤勝利さんとKing&Princeの高橋海人さん主演映画で、学校の理不尽な校則からの自由を勝ち取る高校生の闘いを描く青春ストーリーです。
縦1.2m、横4mの黒板に向かい13名の生徒たちが、朝9時から午後6時半までかけて完成させました。私は後半の2時間ほど立って作品が完成するのを見ておりましたが、多くのお客さんが足を止め写真を撮りながら興味深く眺めていました。中には「凄く似ている!」と喜んで作業が進むのを見守ってくれる佐藤さんや高橋さんのファンの方もいました。長時間かけて完成した作品は実に見事な出来栄えで、映画配給元の松竹の宣伝部門の担当者の方にも大満足していただけました。
さて、『ブラック校則』の公開記念イベントに参加した本校の校則はどうなのでしょうか。社会の変化に伴い年々細かくなっているように思います。規定を見ると「頭髪を束ねる場合は、細かいゴム紐や目立たないヘアーピンなどとし、派手なものは使用しない」の後に(飾りのあるゴム紐、バレッタ、カチューシャ、シュシュなどは禁止する)と詳しく列挙しています。髪型についても、以前はお団子頭を禁止としていましたが、保護者から「キャビンアテンダントはきちんとまとめたお団子頭ですが、なぜそれがいけないのでしょうか?」との質問をいただき見直しました。
しかし、お団子にもさまざま趣向を凝らしたものが出てきており、生徒指導部が頭を悩ましています。禁止事項を次々と列挙していくと、列挙されていないものはOKだとなります。そこでまた新たな禁止事項を追加するということとなります。きりがないと同時に、生徒、教員ともにマニュアル人間を作ってしまいます。とても、論理的思考力や問題解決能力を養うことなどできません。
グッドデザインカンパニーの水野学代表は、「センスの良さ」とは、数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力だと規定されています。そして、「センスとは知識と経験の蓄積により磨かれるもので、先ず「普通」を知った上で「いいもの」や「悪いもの」がわかる。その両方を知って「一番真ん中」がわかる」とも述べておられますが、この「普通」につき生徒と教員に共通認識があれば、事細かい校則など不要となり、「高校生らしいみだしなみ」だけで済むでしょう。
千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長先生の学校のあたりまえを止めた改革には賛同するところ多々あります。服装や頭髪は教育の本質としてさして重要なものでないとの理由で指導を止め細かい校則もなくされた点については理想的だと思います。
本校も事細かい校則を規定しなくてもよい学校にしたいと思います。そしてそろそろすべてを教員主導型ではなく、生徒たちで学校のルールや行事の企画など物事を決めていく方向に移行していきたいと考えています。自立した人となるためには自律できねばなりません。教員サイドで決めた枠内に納めるだけでは、自律とはなりがたいと思います。
本校にはマイケル・サンデル教授による「ハーバード白熱教室」を模した「好文白熱教室」があります。以前から校則についての白熱授業をやってみてはどうかと担当教員に提案しているのですが、しないところを見ると、「普通」についての共通認識に自信がないのかなと思います。
麹町中学校方式は理想なのですが、一挙に生徒主導というのは難しいと思います。先ずは教員と一緒に考えていくステージを十分踏む必要があるでしょう。その中で物事のメリット、デメリットの比較や多面的なものの見方などを身につけてほしいと思います。何か特別なプログラムや教科を設定しなくても、校則の議論や学校行事の企画を通じて、論理的思考や問題解決能力、コミュニケーション能力を高めることが出来ます。しかしそこにはサンデル教授のような絶妙なコーディネーションが要求されます。即ち、教員のセンスが問われるのです。
ルールや行事を生徒たちが自主的に企画立案し運営していける学校にすることが、改革のネクスト・ステージだと思います。そのためには教員のセンスアップが必須です。