
今年は9月に入っても猛暑日が続き、秋らしさは感じられないのですが、日暮れは確実に早まっており夏の終わりを告げているようです。
今回で4回目となる1年生の宿泊レクリエーションで第一陣のA班に同行してきました。滋賀県高島市にあるアクティプラザ琵琶に一泊し、琵琶湖でのSUP体験、葦の講話、晒工場見学、葦の糸でつくるランプシェード製作体験と豊富な内容です。SUPはスポーツの苦手な生徒も得意な生徒も一緒になって楽しめ、岸辺から見守っていても微笑ましい限りです。スポーツは楽しいのが一番です。たくさんの笑顔に出会えるのは嬉しいものです。
一昨年、慶應義塾の107年振りのさわやかな優勝が話題になった夏の甲子園、今年はいじめで出場校が途中辞退するという異例の事態となり、その余波は今も続いています。監督は絶対権力者、上級生には絶対服従、理不尽に耐えてこそ強くなれるという発想があったとすれば、勝利至上主義の弊害です。こういった指導は生徒を思考停止にします。
かつての就活では体育会系の学生が重宝がられていました。私の時代もそうでした。礼儀正しく文句を言わず上司の命令に従い根性があるという点を買われていました。しかし最近の就活ではその価値は薄れてきたようです。職務内容を明確に定めその職務に合った人材を採用するジョブ型採用も進んでいます。いわれたことを忠実に実行するだけではなく、自分の頭で考えて仕事ができるコミュニケーション能力のある学生を採用したいと企業側の発想は変わってきています。
自ら問題を発見し独自性ある自己表現でオリジナリティを追求するアート思考や社会の課題の解決策を考案するデザイン思考が脚光を浴びています。最先端の東京大学芸術創造連携研究機構では医学、工学、文学などあらゆる分野の研究者が芸術家との共同と連携を通じて知性と芸術を結び付け未来を切り拓く試みを実施しています。
本校ではメディア芸術エリアの活躍が目覚ましく、作品の制作過程においてアート思考やデザイン思考を無意識のうちに経験しています。これを論理的に理解することにより他の分野への応用ができれば、生徒たちの更なる能力アップにつながると思います。この課題を解決したいと思っています。
「私学には建学の精神がある」ことを理由に、今となっては非常識な校則や規定を残している学校も見受けられます。建学の精神を守ることが目的ではなく生徒に生きる力を与えることが大事です。部活動の指導方法のみならず校則や規定についても社会の変化に柔軟に対応することが必要です。本校はこの20年、「それは本当に生徒のためになるか」の看板を職員室に掲げ改革を進めてきましたが、改めて教員と生徒双方に「それはなぜ?」を問う思考のアップデートが常に必要だと思うこの頃です。