
今日は中間考査最終日、メディア芸術エリアは1時間で終わり、そのあと芸術系進学ガイダンスが行われました。アリーナ1階に13の芸術系大学・短期大学・研究所が参加くださり、1、2年生対象に行いました。昨年度に続き2度目です。今回も300名ほどの生徒たちがそれぞれのブースで熱心に話を聴いていました。
アメリカを筆頭に世界各国で右翼的ポピュリズムが台頭しています。社会の二極化と分断が原因と考えられます。次の内閣総理大臣の椅子を巡って政党間の駆け引きが最終局面に来ている日本にもヨーロッパのような多党化の時代が来たといわれています。そしてまた右派ポピュリズムの発露を感じます。やはり日本においても以前に比して二極化が進み不満を抱える層が増えている証拠だと思います。
1955年、左右社会党が再統一されるとともに、保守政党であった自由党と日本民主党が合同し自由民主党が誕生しました。いわゆる保守合同です。これをもって自民党と社会党という保守と革新の二大政党を中心とした55年体制が成立しました。戦後復興から経済成長路線をひた走った日本は、働けば働くほど将来に展望が持てる時代であり、一億総中流という言葉が流行しました。内閣府の「国民生活に関する世論調査」において自身を中流だと思う人の割合が7割を超えていました。この時代は長期政権の自民党も幅広い考え方の議員を抱えながら政治を進めていました。
ところが少子高齢化が進み失われた30年を経験する中で、新自由主義の洗礼を受け、日本でも二極化があらわになってきました。人手不足を補う手段として外国人労働者の受け入れも始まりました。日本はGDP世界第2位の経済大国から現在はアメリカ、中国、ドイツに次ぐ4位に後退していますが、2030年にはインドとイギリスに抜かれ世界6位になる見込みです。第2次トランプ政権まではDEI(多様性、公平性、包摂性)が席巻していましたが、これが否定され自国第一主義が勢いを増すに従い、日本でも右傾化の傾向が出てきました。
ハーバード大学のマイケル・サンデル教授は日経新聞のインタビューに答えて世界で右派ポピュリズムが勢いを増す原因を、新自由主義的グローバル化の進展による貧富の格差の拡大、労働者の社会からの見放され感とエリートへの報復、SNSによる攻撃と対立を挙げています。日本においても数年前から「上級国民」と言う言葉が流布され対立を煽る結果となっています。
社会の変化に伴う価値観の多様化は自然であり尊重すべきだと思いますし、多党化も必然かと思います。経済が安定し国民の大半が中流意識を持っている時代は保守中道政権が安定した時代でした。経済がうまくゆかないと考え方が先鋭化しポピュリズムの時代となります。サンデル氏は「熟議を深める教育を小学校から始め『共通の善』(共通の利益)の政治を目指すことが権威主義的ポピュリズムへの対抗手段となる」と述べています。