好文木(校長ブログ)
2025.09.18
経世済民

 今朝起きて歯を磨いていると、庭からツクツクボウシの鳴き声が聞こえてきました。小学生の頃、ツクツクボウシが鳴き出すと「ああ、夏休みももう終わりか」と寂しい気持ちになったものです。9月半ば過ぎのツクツクボウシ、今年は夏の終わりが一月遅れです。
 昨今、線状降水帯の発生による豪雨被害が頻発するようになりました。また1時間に100ミリを超える雨量の観測も増えています。また先日の静岡で甚大な被害をもたらした竜巻は風速70mにもなっていた模様です。ヨーロッパでも熱波や洪水が頻発し、世界的に地球温暖化により気候が荒々しくなってきました。
 変調をきたしているのは気候ばかりではありません。欧米において自国ファーストの姿勢をとる政党の台頭が目立ちます。アメリカのトランプ政権は識者に「もはやアメリカは民主主義の国ではない」と言わしめるような専制政治に陥っています。ヨーロッパでは、ドイツにおける「AfD」、イギリスの「リフォームUK」フランスの「国民連合」など極右とみなされる政党が躍進しています。ロンドンでは10万人に上る移民反対デモが行われ、移民に対する感情が悪化しています。
 「一億総中流」と言われ世界第2位の経済大国になった日本も失われた30年を経て経済は停滞しGDPは中国、ドイツに抜かれ第4位となりインドの猛追を受けています。比較的平等と言われた社会でも格差が拡大してきました。少子高齢化が進む中で外国人労働者に頼らざるを得ない局面が増える中、共生におけるトラブルも増えています。先般の参院選では「日本人ファースト」をスローガンに掲げた参政党が躍進しました。
 四季の国日本も温暖化が進み穏やかな春と秋がごく短くなり二季に近づいています。人々の心も余裕を失い右か左か、白か黒か、決着をつけたがり、SNSでの誹謗中傷が飛び交う世知辛い世の中になりました。STEMA教育だ、AIだと様々な教育改革が行われていますが、格差を拡大させることはあっても縮小にはつながりそうにありません。
 経済格差が小さく国民生活が豊かになれば、考え方は穏やかになり他者を顧みる余裕も生まれます。政治は右でもなく左でもない丁度良い真ん中に落ち着きます。効率ばかりを追いかけた新自由主義のエコノミーのほころびが大きくなり過ぎました。「経世済民」(世を経め民を済う)の経済の時代へ回帰の時じゃないかと思います。

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