好文木(校長ブログ)
2022.02.18
最近の企業ニュースから

 セブン&アイ・ホールディングが2006年に買収したそごう・西武を売却する意向とのニュースに、一時代を築いた企業の栄枯盛衰に感慨を覚えます。
 1970年代後半、私は予備校生として上京し西武池袋線の石神井公園で下宿生活を始めました。予備校には池袋まで出てJR(当時は国鉄)に乗り換え高田馬場というルートでした。池袋には西武百貨店本店があり、当時の大阪の百貨店に比べると、その巨大さは軍艦のように感じました。大学生になってからは東急東横線の自由が丘に引っ越したので、今度は渋谷経由で高田馬場へというルートになりました。渋谷の西武百貨店や系列の専門店パルコは当時若者に人気のスポットで、おしゃれな街・渋谷の象徴でした。渋谷から代々木公園を経て原宿までよく散策したものです。また、当時人気があった細川俊之&木の実ナナの「ショーガール」をPARCO劇場で観たのも懐かしい思い出です。
 西武百貨店の社長でセゾングループ代表だった堤清二氏は、辻井喬の筆名をもつ小説家・詩人でもあり、若者文化のクリエイターとして時代の寵児でカリスマ経営者でした。西武は1970年代から1980年代にかけて、地方都市への出店を進め拡大路線を辿りましたが、バブル崩壊とともにその繁栄も終わりを迎え、グループは解体の憂き目を見ることになりました。そして百貨店はそごうとともに流通コングロマリットを目指したセブン&アイ・ホールディングの傘下に入ったのですが、シナジー効果が認められず、今回の売却となった模様です。
 消費の主流がコンビニに移り、百貨店業界は苦戦を強いられています。その中でも三越、高島屋、大丸などの老舗は、呉服・宝飾品・絵画などの高級品を扱う外商が厚い顧客層を持っています。大衆化を軸にした新興西武はそこが弱く、頼みの大衆が離れて業績不振に歯止めがかからないようです。
 利潤を目的とする企業と、人格形成を目的とする教育とでは自ずと違いがあります。しかし、公立とは異なり、私学は経営が存立を左右します。どの層にターゲットを絞るのか、そのターゲット層のニーズはどこにあるか、新たなニーズの掘り起こしはできないか等、頭を悩ますことしきりです。縮小する市場での生き残りは学校とて同じです。

 

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