好文木(校長ブログ)
2023.11.13
森林監督のインタビュー記事に思う

 先週は各地で夏日が続出していましたが、昨日から一転し冬がやってきました。あまりにも極端な気候の変化に戸惑いを隠せません。
 12日(日)の日経新聞総合面に、「たかが髪型、されど髪型」というタイトルで慶應義塾高校野球部の森林貴彦監督のインタビュー記事が載っていました。この夏の甲子園で107年ぶりの全国優勝を果たした慶應のエンジョイ野球の神髄について「ただ笑顔でやればうまくいくというものではない。日々の地道な苦しい練習、ライバルとの競争、試行錯誤がある。そこを乗り越えるところに、より高いレベルの喜びがある」と述べています。
 また、自主性についても「任せすぎも行けないがこまごま言いすぎるのもよくなく、生徒との距離感でいつも悩む」と言い、支援と指導の微妙なバランスの難しさを指摘しています。
 自由な髪形については「問題は髪型そのものより無思慮に前例に従う思考停止、旧態依然、上意下達の部分」。また、勝つためには手段を択ばないという発想が高校生以下の世代にもゆがみとして出ているといい、選手としての成長と人間としての成長が車の両輪となれば勝利にもつながるという「成長至上主義」を掲げています。
 このインタビュー記事を読んで、森林監督の意見は至極もっともだと思いました。一方で、「しかし、それがかなうのは慶應義塾の生徒だからじゃないか。ある一定の基礎力や良識があるからじゃないか」という思いもあるのも事実です。一定の学力や良識がある生徒は呑み込みが早いです。また、育ってきた環境や経験の影響も大きいと思います。しかし、そうでない生徒にも時間はかかろうとも挫折力や自主性を身に着けさせることが我々の役割でもあります。
 とはいえ、あらゆる面で耐性がない生徒も増えているように思います。「やっぱり無理か」と諦めそうになることも多々あります。しかし、生徒に「諦めるな」というからには我々も諦めてはいけないと思い返します。諦めと思い返し、この葛藤が教育なのかもしれません。

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