好文木(校長ブログ)
2020.10.30
美術鑑賞の醍醐味

 「黒板アート甲子園2020大会」での最優秀賞受賞に引き続き、第69回大阪私学美術展において、本校の美術部は4年連続、学校団体優秀賞に選ばれました。出品88作品中、優秀賞20作品、奨励賞25作品となり、受賞率が51%と過半数を超えました。また、5つの特別賞のうち知事賞と教育委員会教育長賞を頂戴しました。知事賞は昨年、2年次に新聞紙で作ったワニで獲得した生徒が3年生として油絵での受賞となり、同じ生徒による2年連続の快挙です。
 短い夏休み中も、生徒たちは毎日学校に来て制作に余念がありませんでした。美術部顧問も熱心に指導をし、生徒の才能を上手に引き出してくれました。作品の見どころは技術とメッセージ性です。どういうメッセージを込めたのか一人一人の話をゆっくり聞いてみたいものです。きっと思わぬ発想に出会うことでしょう。
 私が小学生のころ、家の近くに、小磯良平画伯や猪熊弦一郎画伯らと交友があった伊藤継郎画伯のご自宅がありました。奥様とお嬢様が絵画教室を開いておられ、私も習いに行っておりました。時折、伊藤先生がアトリエから出て私たちのところに来て微笑みながら絵をご覧になっていました。その後、息子と娘もお世話になりました。ずいぶん経って伊藤先生がお亡くなりになった後、お嬢様から先生の作品をいくつか譲っていただきました。以来、自宅のリビングに架けて楽しんでいます。
 私は早々に受験勉強に取り掛かってしまったため絵を描くことはなくなりましたが、絵の具のにおいは懐かしく、絵を観るのが好きです。趣味の欄には、読書とテニスに加えて絵画鑑賞と書いています。
 エコール・ド・パリの画家が好きで、特にシャガールやユトリロなど幻想的で憂いを感じる作品に惹かれます。独特の線と乳白色で肌を描いた藤田嗣治の作品には、繊細さとともに強さを感じます。日本画では四季折々の素朴な日本の風景を描く川合玉堂の作品を好んでいます。第一印象で気に入ると、その作家の評伝や解説書を読みます。そこから人となりや一生を知った上で改めて作品を観ると、さらに理解が深まります。作家がどのような境遇の時に描いた作品かがわかると、その時の心情に迫ることが出来き、そこに物語が浮かびます。それが美術作品を鑑賞する醍醐味だと思います。
 大阪私学美術展は美術部の生徒たちが自らの物語を作品に託して語る舞台だといえます。鑑賞者は作品に付けられたタイトルから作者の思いや意図を想像します。たとえ作者の意図とは異なるストーリーを想像したとしても、それは作品の持つ多様性であり、面白いと思います。

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