ようやく今日から全校生徒揃っての登校となり通常授業が始まります。長期にわたる臨時休校明けでもあり、しばらくは40分授業とし、昼休みも70分と長めにとることとしました。徐々に体を学校生活に馴染ませていってください。
さて、コロナ後の生活様式として、3密を避ける「新しい日常」、「ニューノーマル」が推奨され、ICT(情報通信技術)の利用が進められています。テレワークやリモート授業など、ICT機器を使えば、自宅に居ながら仕事も勉強もできるため、感染予防はもとより、移動の時間や労力、費用を節約することができます。先進国の中では、デジタル化が遅れていた日本ですが、コロナをきっかけにビジネスでも教育でもICT化が加速されそうです。
当初、密接を避けるために、Social Distance(社会的距離)という言葉が使われていましたが、最近ではPhysical Distance(物理的距離)という言葉に替わってきています。私は社会的距離という言葉を初めて聞いた時、少なからず違和感を覚えました。好むと好まざるとにかかわらず、人は一人では生きてはいけず、多くの人がいる社会の中で生きていくものなので、その社会と距離をとるというのは孤立を招くのではないかと感じたのです。物理的距離と言うほうがしっくりきます。
コロナをきっかけに、ヨーロッパでは、在宅勤務を標準化し、法整備の動きが進んでいます。アメリカでもTwitterなどは約5000人の全従業員の永続的な在宅勤務を認めました。一方で、アップルは快適なオフィスでの勤務を本格的に再開する予定だそうです。在宅勤務テレワークにもメリットとデメリットがあるのですが、これからの働きかたは、個人の生活様式や職種、役割に応じて変わってゆくものと考えられます。そして教育もまた同じく、個に応じた対応で能力を伸ばす形になると思います。
本校は「個性創造」をスローガンにしています。ここでいう「個性」とは、基礎・基本をしっかりと身に付けたうえで花開く独創的な表現力や考え方のことです。世の中は常に不確実性に満ち溢れています。これを否定的にとらえるかチャンスと肯定的にとらえるか、日頃からの学びにかかってきます。デジタル化が促進する「個の時代」に求められるのは、自らを律することが出来る強固な意志と他者を慮れるコミュニケーション能力です。みなさんを待ち受ける世界は、変化に富みチャンスに溢れていますが、成果が重んじられる、より競争的な社会になるだろうと思います。みなさんが、学びを通じて競争社会を生き抜く力を身に付けることを願ってやみません。