好文木(校長ブログ)
2025.02.21
高校無償化について

 高校の授業料無償化に向けて、自民・公明と維新との協議が大詰めを迎えています。今朝の日経新聞は、三党が目指す私立高校向けの支援額引き上げについての経済学者による政策評価アンケートにおいて、学者の70%が反対の意向を示していることを伝えています。この「エコノミクスパネル」は日経新聞社と日本経済研究センターによるもので、オンラインで実施し、47人の経済学者から回答を得たものです。
 反対の理由の主なものは、私学が授業料値上げ競争に入り、塾代も高騰し、受験競争の更なる過熱化を招くというものです。高所得層は余裕が出たお金を塾代に回すことができ、教育格差が広がるとの見解です。また、私立高校への集中が起こり公立高校の教育環境の悪化に繋がるとの懸念も述べられています。一方で、就学支援金にかかわる所得制限の撤廃については、反対49%に対し賛成が39%とかなり接近しています。
 また、共同通信の世論調査では、所得制限のない高校授業料無償化について、男女ともに60.8%が賛成しています。年代別では30代80.9%、40~50代67.8%、60代以上42.6%と若い世代ほど賛成が多くなっています。
 以上の調査結果からは、私立高校が公教育の一端を担っていることに対する理解は十分にあると思われます。また選択肢が広がるメリットへの賛同もあるでしょう。子育て世代の関心が高いことも窺えます。私学を選ぶ保護者への支援についても一定のコンセンサスは出来ていると思います。しかし、所得制限をなくすことについてはしっくりこないというのが実態だと思います。
 高校進学率は99%に達し、義務教育化しています。公立があるのに授業料が高い私立を選ぶ理由として、設備施設の充実や教育内容の豊富さ、面倒見の良さがあります。これは私学間での競争と自由裁量の大きさの賜物です。私学を選ぶ中低所得者層への支援は納得できるが高所得者層はある程度自己負担してもいいのではないかという考え方は極めて妥当だと思います。そんな中、大阪では所得制限を外し63万円のキャップ制が敷かれそれ以上の授業料は学校負担という実質的な価格統制が実施されつつあります。全国平均の45.7万円より高い授業料は施設設備費をほとんどとらない大阪の特色であり、必ずしも高いとは言えません。しかし、この大阪の価格統制という考え方には納得がいきません。
 とりあえず、26年度からは所得制限なしで45.7万円の支援金が出る線で今後の対応を考えることになりそうです。

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