好文木(校長ブログ)
2025.12.08
12月8日に思う

 12月8日と聞いて「真珠湾攻撃」、「トラトラ」、「太平洋戦争」を想起する人も減ったのではないでしょうか。ましてや12月14日と聞いて「赤穂浪士の討ち入り」、「忠臣蔵」を思い出す人は歴史オタクぐらいじゃないでしょうか。
 さて、84年前の今日、ラジオの臨時ニュースが開戦を告げました。「帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」。このニュースを聴いて多くの人々がそれまでの鬱屈した気持ちから解き放たれたと感じ万歳を唱えました。その時、その後4年に及ぶ戦争により、国土が灰燼に帰すことを予想した人はどれだけいたでしょう。
 ロシアがウクライナに進攻し、イスラエルがガザ攻撃を激化させ、アメリカのトランプ政権が保護主義と孤立化の道を歩み出し、ポピュリズムが台頭、世界が安定を失っています。首相による台湾有事発言に端を発した中国との関係悪化は自衛隊機へのレーザー照射までエスカレートしています。アメリカ一強時代が終わり、米中露が力による政治を推し進めており、我が国の外交力が試されています。
 第一次大戦後1930年代初頭にかけては米国と英国との協調を重視する外交方針が主流でした。幣原喜重郎外相による幣原外交がつとに有名です。しかし、日本の満州への進出によりこの協調路線は終わりを迎えます。軍部が台頭し、幣原協調外交は軟弱とのそしりを受けます。マスコミも次第に軍部よりの報道が多くなり鬼畜米英の合唱となります。この経緯にはアメリカやイギリスそしてソ連などの思惑が複雑に絡み合っていたのですが、日本は単純に過ぎ、錯綜する国際情勢を十分に読み取ることが出来なかった節があります。
 白黒はっきりするのは気持ちがいいものですが、複雑怪奇な国際情勢の中を上手に渡り84年前の轍を踏まぬセンス良い外交手腕が求められます。外交で勝つ日本であってほしいと思います。

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