明日25日から、大阪府・兵庫県・京都府そして東京都に三度目の緊急事態宣言が発出されますが、残念ながら三度目の正直とはならないと思います。イギリスは何度もロックダウンを繰り返しましたが、ワクチン接種が進んで収束に向かい始めました。日本でもワクチン接種がイギリス同様国民の40%レベルまで進まなければ、一旦は収束しかけてもまたぶり返すと考えるのが妥当だと思います。生徒や教職員に陽性者が出て休校措置をとる学校も増えてきています。みんなそれなりの感染防止策は講じていますが、ロックダウンしない限り完全に防ぐことはできません。
昨年4月27日付の好文木「ここが我慢のしどころか」で、1918年のスペイン風邪流行時のアメリカについて、「全米30州を調べた結果、厳しい制限を長く続けた街の方が、死者が少なく、収束後の雇用も伸びた」というFRB、ニューヨーク連銀、MITのエコノミストの論文を紹介いたしました。
しかし、日本では感染者が少ない時に厳しい内容の緊急事態宣言を出し、感染者が増えてきたら、緩い内容の宣言を出すというちぐはぐな対応をしてきました。そして、総理はこれまで「国民の命を守る」とか「必ず押さえる」など、折々で断定的な発言をされてきました。その意気ごみは理解できるのですが、十分なワクチンも治療薬もない状況では、希望的観測に過ぎず、太平洋戦争時の大本営発表と変わるところがありません。現状を正しく伝えて、長期的な展望と終息へのロードマップを示せば、国民の理解が得られると思います。
世界第3位の経済大国としては、この間に国内において、病床確保とワクチンと治療薬の開発に資金を投入し、休業補償制度を整備するという積極的な対応をやるべきだったと思います。また、ワクチン外交においても、訪米したにもかかわらず製薬会社CEOに面会できず、電話会談となるなど、かなりの出遅れが見られます。
今朝の日経新聞は、「菅首相が65歳以上の高齢者のワクチン接種について、2回の接種を7月末までに終えると表明」と報じていますが、当てにして良いのでしょうか。今回の3回目の緊急事態宣言も、1回目と2回目の内容を足して2で割ったようなもので、期間の短さも含めて、相変わらず戦力の逐次投入の轍を踏んでおり、歴史に学ぶ姿勢に欠けているのではないかと思わざるを得ません。