好文木(校長ブログ)
2021.10.06
45歳定年制

 10月に入り拙宅の山桜が紅葉してきました。朝夕は随分と涼しくなりましたが、日中はまだ夏の陽気です。10月いっぱいは夏服でもいけそうな感じです。日本には四季があるといわれてきましたが、春・秋は年々短くなり、時期を決めて一斉に衣替えという習慣が意味をなさなくなってきたと思います。
 少子高齢化による社会保障費の増大に直面し、政府は、2025年には65歳定年を義務化し、その先に70歳定年を見据えています。このような状況下で、先月上旬、経済同友会のセミナーにおける、サントリーホールディング新浪剛史社長の発言が議論を呼びました。
 新浪社長は「45歳定年制を敷いて、個人は会社に頼らない姿勢が必要」と発言したのです。これを受けて、「45歳で首を切られてはたまらない」など様々な批判が出たため、改めて「実際に45歳で会社を辞めさせるということではなく、45歳は人生の節目であり、自分の人生を考え直すことが重要で、スタートアップ企業に行くなど社会がオプションを提供できる仕組みを作るべきだという趣旨だ」と説明がなされました。
 2:6:2の法則というのがあります。どんな組織にも仕事ができる2割の優秀な人と普通の働きの6割の人そして2割の仕事ができない人がいるというものです。組織はこの3種類の人をうまく組み合わせて運営されています。
 だいたい30代後半から40代前半でその人の実力と評価が定まってくるのではないかと思います。またその年齢になると、本人も属している組織の中で、自分が将来、どのぐらいのポジションまで上がれるかという先行きが見えてきます。そういう意味では、45歳が節目というのもあながち間違いではないと思います。
 企業に余裕があれば、実力や評価の差を双方が認識しながらも定年まで働くことが出来ていたのですが、低成長でIT化が進むこれからはそうはいきそうにありません。職場での選別がより早い年齢でより厳しく行われ、労働市場の二極化と流動化は止まらないと思います。
 学生はこの厳しい現実を直視し、進路意識を高めしっかり学びスキルを身に付けることがますます必要となります。しかし、どのような集団でも人が集まれば、2:6:2の法則が生じるのが現実です。世の中、優秀な人材だけで成り立つものではありません。多様な人の組み合わせで強い組織を作る努力もまた必要だと思います。

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