好文木(校長ブログ)
2024.06.07
優しさの向こう側

 学校に戻ってくる卒業生から「もう一度、好文生に戻りたい」という話をよく聞きます。その時、私は「だけど、在学中は色々文句を言っていたじゃない」と返すのが常です。でも、高校時代を良かったと懐かしんでくれるのは校長として大変有難く嬉しいことです。
 ただ、その良い思い出を胸に今を元気に前向きに過ごしてくれていれば言うことはありませんが、現状が楽しくなく満足していないということなら残念です。大学は高校に比べると面倒見は良くありません。就職すればなおさらです。自立が要求されます。たとえ自分の好きなことを学んだり仕事にしたりしていても、苦しい時や辛い時はあります。それを乗り越えることが自信につながり成長の基となります。私は常々、楽しいけどちょっと苦しい、「楽苦しい」状態がちょうどいいのではないかと思っています。
 入試広報の先生と中学校への挨拶に回っている途中、車のラジオから懐かしい『若者たち』の歌が聞こえてきました。「君のゆく道は 果てしなく遠い だのに なぜ 歯を食いしばり 君は行くのか そんなにしてまで」という歌詞、私もよく口ずさんだものですが、これを聴きながら、「最近は困難に出会ったとき、歯を食いしばって乗り越えるのではなく、現実逃避へ変わってきているんじゃないか」という話になりました。
 社会全体が優しくなってきました。私は不合理な精神論や根性論は好きではありません。しかし、過てる優しさは甘えと弱さを招いて、自立を妨げると思います。そして人間関係のトラブルを「乗り越えられない」原因はコミュニケーション力の劣化だと思います。
 昨年の出生率が1.20と過去最低を更新しました。出生数は72万人、死亡数は157万人で85万人の自然減、人口減少ペースが加速しています。政府は様々な少子化対策を発表していますが、出生率増加の決め手には欠けるようです。少子高齢化がますます進む日本は、高齢者にも子供にも優しい社会を目指そうとしているのでしょうが、強さのない優しさの向こう側には明るい未来は来ないように思います。

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