2019.05.16
終身雇用の終焉

 新卒一括採用の見直しが進んでいる中、経済同友会、経団連、日本自動車工業会のトップから終身雇用を続けるのは難しいとの発言が相次いでいます。一方、政府は少子化で15歳から64歳までの生産性年齢人口の減少を見据えて、70歳までの定年延長や兼業・副業をしやすい環境を目指そうと考えています。
 年功序列賃金制度と終身雇用制度は戦後日本の経済成長を支えてきた柱です。学校を出て就職すれば、特に大手企業に就職できれば、給料は年齢とともに上がってゆきよほどのことがない限り定年まで勤めることができるのですから、安心して働くことができました。
 しかし、この制度は人口減少と低経済成長下では機能しなくなりました。年功序列賃金に見直しが入り、基本給は年齢給と能力給に分けられ能力や成果による評価が反映されるようになりました。仕事ができる人には厚く出来ない人には薄く分配を行いつつ全体の人件費を抑制せざるを得なくなったのです。
 定年はかつて55歳が主流でした。60歳になったのは意外に新しく1998年に60歳未満の定年制が禁止されてからです。そして2014年からは希望者全員65歳までの雇用が義務づけられました。そしてさらに少子高齢化が進み人生100年時代が目前となり、70歳まで延長というのが現在の動きです。
 高齢者の雇用を増やせば、若年者の採用を控えねばならなくなる企業もあるかもしれません。また、AIの進歩と外国人労働者の受入拡大も雇用への影響は大きく、国と企業、高齢者と若年者それぞれの利害得失が絡み合います。
 就活というのは、実際は就社活動でした。学生は会社で選んでいました。会社側も新卒者を自社色に染めて多様な仕事ができる自社で通用するジェネラリストに育ててきました。これには、入社した会社で定年まで働くという前提がありました。
 しかし、今後は本当の意味での就職活動が必要となります。自分はどういう職種で働きたいのか、営業か研究開発か広告宣伝かを明確にすることが必要です。というのは採用された会社で定年まで働ける保証がなくなるからです。転職時には得意分野が問われます。営業に強いとか経理は任してほしいといえなければ難しくなります。となると、大学のうちに職種の研究と自分の適性をある程度判断して就活に臨む必要があります。
 人生は思い通りにはいかないものですから、いくら緻密な計画を立てても変更を迫られることが多々起こります。この会社と思って入っても自己あるいは会社の都合で転職を強いられることも多くなるでしょう。仕事のやり方もA社では通用したがB社では通用しないということも十分あり得ます。これを乗り越えて変化に対応できるだけのスキルを身につけるために常に勉強を怠らぬことが肝要だと思います。
 

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