好文木(校長ブログ)
2026.01.07
高校「現代の国語」における小説の復活

 高校の「現代の国語」の教科書で小説の復活が急増していると日経新聞(2026.1.5)は伝えています。22年度に新必修科目として導入された「現代の国語」では「実用文を扱う」とされ、小説を含む文学作品はもう一つの必修科目「言語文化」で扱う方針が打ち出されました。しかし、現場の教員から小説を読むことで多様な見方を学べるとの支持が根強く「現代の国語」に小説を載せる教科書が増えてきたそうです。また「言語文化」では古文、漢文も入っているので小説まで手が回らないという意見もあるようです。私が学んだ頃は、「現代国語」の教科書に評論、随筆、小説があり、古文と漢文は別の教科書だったように記憶しています。
 安倍政権下では教育再生会議を中心とした教育改革が進められ、論理的思考の重要性が強調されました。また実社会で役に立つことを早い段階から学ぶべきとの考え方も強く打ち出されました。その結果、文学作品よりも論理的文章や実用文を重視する風潮が生まれました。私は当初からこの分離には違和感を持っており、「好文木」でも度々小説の重要性を述べてきました。「傾聴と共感」は小説から生まれると考えているからです。論理と文学とは決して別物ではなく、感情の中にも論理があります。ともにバランスよく学ぶことが教養を高めます。
 この記事の中で、小説家の村上春樹氏の話として、「オウム真理教の元信者のほとんどは思春期に小説に熱中したことがないと答えた」とのインタビュー結果が紹介されています。オウム事件から30年、SNSの浸透によるフィルターバブル現象やエコチェンバー現象により、多様な考え方を受け入れない傾向はさらに強まっていると思います。「やっぱり小説は必要だ」という現場感覚、至極もっともだと思います。

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