人工知能(AI)の進化が止まらないようです。今朝の日経の記事によると、テクノロジーは指数関数的な進化を遂げ、人間の覇権を脅かすまでになり、地球史に新たな時代「テクノ新世」が幕を開けると報じています。
米国ではChat GPTと医師に同じ質問を投げかけたところ、専門家はAIの圧勝と判断。情報の質の高さを示す指標は3.6倍、共感力に至っては約10倍の差がついたとのこと。AIは過去の膨大な事例を集積し、瞬時に答えを出します。人間は自らの経験によりますから当然、情報量が異なります。しかし、共感力で劣るというのはショックです。これこそ人ならではの利点だと思っていましたので。
「漂白剤が目に入った」という相談に、「それはとてもお気の毒でしたね」と、いたわりの言葉から始まるAIの回答は、AIに感情があるからではなく、過去の回答から最も適したものを抽出した結果だと思われます。もともといたわりの言葉を述べていたのは人間です。しかし、いたわりの気持ちを表す配慮も余裕もなく淡々と答えている医者がいかに多いかということです。AIの回答から人として反省すべき点が明らかになります。
一方で、地球温暖化を相殺するため、二酸化硫黄を運ぶ気球を打ち上げて上空に散布することを考えている新興企業もあります。「地球を冷やす」ことを目的としたこの技術が、科学者の間で大気汚染や災害を引き起こす「新たなリスク」をもたらすのではないかとの懸念があるようです。
Chat GPTを使えば、受験や就活における自己PR文・志望動機作成などもできますが、自分のものになっていないと面接で四苦八苦することになるでしょう。文章の構成や内容についてAIから出た回答で学び、自分なりの内容と文章に作り替えることが大事です。そのためにはそれなりの知識や情報を獲得していなければならず、基礎的な勉強ができていることが大前提になります。
人が自らの頭で「考えること」を放棄してむやみやたらにテクノロジーに頼れば、人間の知識の集積から生まれたテクノロジーが人間の知の衰退を招く実に皮肉な結果になりかねません。