好文木(校長ブログ)
2022.03.24
令和3年度3学期終業式講話

 寒い冬も終わり、桜の季節になってきました。コロナ第6波も感染者数が減少し、まん延防止等重点措置も解除されました。引き続き感染予防の徹底は必要ですが、少し安心して春休みを迎えられそうです。
 しかし、世界に目を向けますと、ウクライナではロシア軍の侵攻が続き、歴史ある街並みは砲弾やミサイルで破壊され、多くの市民が塗炭の苦しみに耐えています。昨日、日本の国会では、ウクライナのゼレンスキー大統領による初のオンライン演説も行われました。私たちは過去の歴史の一コマとして、第一次世界大戦や第二次世界大戦のことを習ってきましたが、今、紙の上ではなく、リアルな映像を通して戦争に向き合っています。今日は少しこの話をしたいと思います。
 1945年、第二次世界大戦が終了し、世界は民主主義と自由経済を標榜するアメリカ合衆国と社会主義と計画経済を目指すソビエト連邦共和国の2大強国が対立する東西冷戦の時代となりました。そのさなか、1962年、ソ連がアメリカの喉元にあたるキューバにミサイル基地を建設していることが発覚し、アメリカとソ連の間に緊張が高まり、核戦争寸前まで行きました。幸い、アメリカ大統領ケネディとソ連首相フルシチョフの話し合いでソ連はミサイルを撤去し事なきを得ました。
 その後、計画経済の失敗と圧政からの解放のエネルギーの高まりを受け、1989年、東西ドイツを隔てていたベルリンの壁が壊されます。1991年には、アメリカとの軍備拡張競争に敗れたソ連が崩壊します。1992年、アメリカの政治経済学者フランシス・フクヤマ氏は『歴史の終わり』を著わし、民主主義と自由主義の勝利を宣言しました。
 しかし、今再びロシアのウクライナ侵攻により、欧米を中心とした西側諸国との緊張が高まり、ロシアのプーチン大統領は核の使用にも言及しています。国際社会は、第三次世界大戦を回避すべく、今のところはロシアに対する直接の軍事介入は控え、経済制裁をもって対抗していますが、暴虐はなお続いています。
 1人の独裁者の執念によって、無辜の民の昨日までの平和と安寧が無残にも破壊され、なすすべもない現実を目の当たりにして、強い憤りを感じるとともに、歴史は終わってはおらず、「いつか来た道」を辿ろうとしているのかと暗澹たる気持ちになります。
 資源のない日本は、世界が平和でなければ、その存立が危ぶまれます。平和を享受できる幸せを噛みしめ、そして、戦禍に苦しむウクライナの人々とプーチンの戦争に抗議の声を上げているロシアの人々に思いを馳せ、私たちは「なぜ人は戦争を選ぶのか」、再考しなければならないと思います。みなさんも是非考えてみてください。
 4月、新入生を迎え新たなスタートを切れることを楽しみにしています。

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