好文木(校長ブログ)
2022.03.01
手紙のぬくもり

 ようやく厳しい寒さも和らぎ少し春めいてきた先週土曜日、卒業式を挙行しました。
 今年もコロナ禍のため昨年に続き、3年生はアリーナ1に、保護者はアリーナ2にと、2階方式で実施しました。10時15分に始まった式はほぼ1時間で終了し、生徒は教室で担任との最後のホームルーム、その間、保護者にはアリーナでお待ちいただきました。
 ホームルーム終了後は芝生のグラウンドで写真撮影する生徒や保護者の姿が多く、和やかな時が流れました。たかが3年間、されど3年。順風満帆に来た生徒ばかりではなく、紆余曲折の末、卒業にたどり着いた生徒もいます。しかし、「過ぎてしまえばみな美しい」思い出となるのが卒業式です。私にとっては15回目の卒業式でしたが、終わるとやはりホッとします。そして少し寂しくもあります。
 私も何人かの生徒と写真に収まりました。そして、渡された手紙に涙腺が緩みました。
国語的には添削をしたくなる手紙もありましたが、生徒の顔が浮かぶ私には心のこもった手紙であり、ありがたく思いました。
 卒業式の余韻の残る昨日、3年前の卒業生が2人訪ねてきてくれました。1人は2月に受けた看護師国家試験の結果を待っている済生会病院野江看護専門学校の3回生です。済生会野江病院への就職が決まっています。もう一人は就活中の関西大学3回生です。製薬会社のMRを志望しています。ともに人の役に立ちたいと考えています。看護学校生は、在学中よく相談に来ましたので何度も話をする機会がありました。関大生とは話した回数は少なかったと思いますが、熱心に個別指導を受けて受験勉強に励みました。
 ひとしきり話が終わったところで、関大生がバッグから、やおら一通の手紙を取り出しました。「どっかで見た封筒だな」と思いましたら、私が書いた手紙でした。彼女が1年生の時に校長ポストに進路について相談の手紙を入れていました。それに対する私の返事の手紙でした。それを6年間大事に持ち続けていてくれたことに感激しました。看護学校生も、校長室で勉強した時の私のメモをすべて保管しているそうです。これにも感激しました。
 SNSが主たるコミュニケーション手段となり、手紙を書く機会は少なくなりました。「だからこそ、自筆の手紙には温かさを感じるのです」と彼女らは言っていました。確かに、今年の卒業生の手紙も、たとえ国語的には難ありでも、温かい気持ちは十分伝わってきます。
 関大生は帰り際に、感謝の気持ちを綴った手紙をくれました。私も生徒からもらった手紙は大事に保管しています。この手紙もその仲間入りとなります。お互いが保管している手紙を時折読み返しながら、「よし、頑張ろう」と思いあえているのかもしれません。

新着記事
2024.04.09
桜散りて
2024.04.08
令和6年度一学期始業式校長講話
2024.04.04
令和6年度入学式式辞
2024.04.01
あっぱれな卒業生
2024.03.22
令和5年度3学期終業式校長講話~センスを磨こう~